巨人・菅野「インスラ」を投げる2つの意味

[ 2018年2月17日 09:30 ]

16日、フリー打撃に登板した菅野は打者に球種を伝える
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 巨人の菅野が宮崎でのキャンプ最終日となった13日、ブルペンで重点的に投げたのが、右打者への内角へのスライダーだった。そして16日にも、フリー打撃で右打者の岡本に投じた。

 通称「インスラ」。右投手なら、スライダーは右打者から遠くへ逃げる軌道を描くため、通常であれば、右打者の外角に投じる。それを意図して内角に投げるという。昨年も何球か目にしたが、打者にとっては1度体に向かってきて曲がるから「頭にない球」となる。

 「インスラ」の歴史は意外と古い。1970年代。本紙評論家で通算251勝を挙げた東尾修氏が「強かった阪急をどう封じるか」をグラウンドでも、そして外で飲みながらも思案したという。「福本さんが、無死や1死で三塁にいたら、まずフェアグラウンドに打球が飛んだら1点になる」。外野フライでも、内野ゴロでも駄目。打者にバットにあてさせない球は何か。「俺は菅野のような150キロを超える速球は当時はなかった。でも、シュートを意識させて、インスラだった」。当時の阪急の主砲には右の強打者、長池徳二がおり、編み出したものだった。菅野も今、リーグ2連覇中の広島を倒す使命がある。広島には鈴木誠也をはじめ右の強打者がおり、どの場面で「インスラ」を投じるか、今から楽しみではある。

 40年以上の時代を経て、投手の球種は格段に増えた。菅野が「インスラ」を投げることには、別の意味合いも加わっている。東尾氏は「日本球界でナンバーワン投手だからこその悩み。それは、打者が追い込まれれば、バットを短く持ってファウルで球数を投げさせようとする。追い込んで1球で終わらせるには、スイングをさせずに見逃し三振をとること。球数減らしには必要」と話してくれた。

 今はレギュラーシーズンのほかにCSもあり、侍ジャパンの試合もある。年間を通じて長いイニングを投げ続けるには、1試合の球数をいかに減らせるかが大きなテーマにもなっている。

 東尾氏は右打者のバッターボックスの白線を目標とし、1、2個曲げて、ベースの捕手寄りの角をかするイメージで「インスラ」を投げていたという。それだけ精密な制球力が必要で、肩口から真ん中に入る球なら、逆に打者にとっては絶好球となってしまう。「なるべく曲がりは打者寄りに。そのためには球持ちの良さが大事」と東尾氏。昨年は沢村賞をはじめ、数多くのタイトルを獲得した菅野が意のままに操れるようになったら、さらに打者は難しい対応が迫られることになる。(記者コラム・倉橋 憲史)

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