勝つ気がない?メジャー球団の3分の1が「買い控え」

[ 2018年1月30日 10:10 ]

ドジャースのジャンセン (AP)
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 昨季ナ・リーグのセーブ王に輝いたドジャースのジャンセンが、27日の球団イベントでぶち上げた。「ストライキをしないといけない」。例年になくスローなFA市場を危ぐしてのものだ。

 ダルビッシュ(ドジャースからFA)の交渉はようやく最終局面を迎えた模様だが、このオフは各球団が「買い控え」に傾いた。理由は多く語られている。「ぜいたく税」の規定の厳格化や、18年オフにハーパー(ナショナルズ)ら超大物FA選手が多いこと、などである。しかし、ジャンセンが憤っているのは、そこではない。

 ストを提案した理由は「マーリンズのようなチームが多くならないように」。チーム再建のため、ある程度、若手主体に切り替える方針はうなずける。しかし、マーリンズは主軸を担っていたレギュラー外野手全員(スタントン、オズナ、イエリチ)をトレードで放出。交換で得た選手も決して特別な有望株ではない。パイレーツも同様のトレードを繰り返して非難を浴びた。

 米ヤフースポーツの名物記者ジェフ・パッサン氏は、選手会関係者の「勝つことに関心を示さない球団がこれまで以上に増え、負けることを願ってすらいる」との談話を引用し両リーグの3分の1、10球団がそれに該当すると指摘した。具体的にはブレーブス、ホワイトソックス、レッズ、タイガース、マーリンズ、アスレチックス、パイレーツ、レイズ、ロイヤルズ、パドレスを挙げている。

 大リーグのドラフトではレギュラーシーズンで勝率の低い順にウエーバーの指名順が得られる。過去にはレイズ、最近では昨季世界一のアストロズがこの流れで有望選手を次々と獲得し、躍進につなげた。ただし、それにも限度がある。勝つ気のない試合にチケット代を払わされるファンには裏切り行為。野球協約の第177条1の1でも「試合において、故意に敗れ、又は敗れることを試み、あるいは勝つための最善の努力を怠る等の敗退行為」を禁じている。

 昨季、大リーグ全体の収入は初めて100億ドル(約1兆900億円)を超えた。いわゆる低予算球団も、巨額のローカル放映権料契約などで潤っている。極端な「買い控え」は球団と選手の間の溝を深めるだけでなく、球団とファンの間の不信感を深めてしまう。 (記者コラム・大林 幹雄)

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2018年1月30日のニュース