木更津総合・早川　強打の大阪桐蔭に雪辱　武器ローボールで１失点完投

＜大阪桐蔭・木更津総合＞最後の打者を打ち取り雄叫びを上げる木更津総合・早川

第８８回センバツ高校野球２回戦 木更津総合４―１大阪桐蔭

（3月26日 甲子園）
　２回戦３試合が行われた。木更津総合（千葉）は優勝候補の大阪桐蔭を逆転で破り、４５年ぶりの８強進出。早川隆久投手（３年）が５安打１失点完投し、昨秋明治神宮大会で敗れた相手にリベンジを果たした。春夏通じて甲子園初出場の明石商（兵庫）は、吉高壮投手（３年）が東邦のプロ注目右腕・藤嶋健人投手（３年）に投げ勝つ５安打完封。一昨年の覇者・龍谷大平安（京都）は八戸学院光星（青森）を下した。

　９回２死。早川は最後の打者・古寺から空振りで６個目の三振を奪うと、左拳を握りしめて吠えた。大阪桐蔭を倒して関東・東京勢で唯一の８強入りを決め、関東王者として牙城を守った。

　「秋の明治神宮大会で負けてリベンジするために頑張ってきた。本当にうれしい」

　初回、吉沢に先制ソロを被弾。高めのスライダーを打たれた。「打たれて逆に気が引き締まった」と２回以降を零封。昨秋公式戦のチーム打率・３８１、１試合平均９・２１得点がともに出場校中トップの相手打線を沈めた武器は「ローボール」だ。３回は２死一、二塁から４番・三井を低めのスライダーで二ゴロに仕留め、６回２死二塁では古寺をチェンジアップで空振り三振させた。「ワンバウンドでもいいと思って投げた」という思い切りが功を奏し、高山との左腕対決を制した。

　１２年夏の甲子園初戦（２回戦）で現阪神の藤浪の前に２―８で敗退。以降、チームは打倒・大阪桐蔭を掲げてきたが、昨秋の明治神宮大会１回戦でも２―５で敗れた。早川は雪辱を誓って練習用帽子のひさしに「１１月１４日　大阪桐蔭　２―５」と書き込んだ。１回戦は英ロックバンド・クイーンの曲を聴いて出陣し、完封目前で２失点したため「きょうはＥ―ｇｉｒｌｓにした」。大事にしている試合前のルーティンを変えてまでも勝ちにこだわった。

　昨年１１月、９５歳で死去した真板益夫前理事長にささげる１勝ともなった。学校創設者で野球部員を孫のように可愛がっていたといい、青山茂雄部長は「前理事長は大阪桐蔭に勝つことが日本一につながると考えていた。校歌は天まで届いたと思う」と感慨深げ。西の横綱に土をつけたエース。「自信になった。全国制覇したい」と頂点を見据えた。　（松井　いつき）

　◆早川　隆久（はやかわ・たかひさ）１９９８年（平１０）７月６日、千葉県生まれの１７歳。小１から野球を始める。横芝中では軟式野球部でプレー。木更津総合では１年秋からベンチ入り。２年春に背番号１を背負うも同夏と昨春センバツは背番号１０。昨秋から再び背番号１。好きな言葉は「百折不撓（ひゃくせつふとう）」。１メートル８０、７４キロ。左投げ左打ち。

　≪関東勢の牙城守った８強≫関東・東京勢の出場６校で唯一１回戦を突破した木更津総合が８強入り。敗れていれば、０４年以来１２年ぶりの関東・東京勢８強ゼロとなっていた。０４年の前に関東・東京勢が準々決勝に進めなかったのが７９年。同年は近畿５、中国１、四国２と近畿以西で８強を独占。