東邦　夏こそ…藤嶋無念３失点、９回には打者で空振り三振

[ 2016年3月27日 05:30 ]

第８８回センバツ高校野球２回戦東邦０―３明石商

（3月26日甲子園）
　２回戦３試合があり、東邦（愛知）は明石商（兵庫）に０―３で敗れてベスト８進出はならなかった。エースの藤嶋健人（３年）は低めへの制球が定まらず、５本の二塁打を含む被安打８を浴びた。打線も最速１４５キロの直球と鋭く落ちるスプリットを巧みに操る吉高を攻略できずに完封負け。単独最多５度目の優勝を狙った東邦の春が終わった。

　あと１本出ていれば流れは東邦に傾く試合展開で警戒していた吉高を最後まで打ち崩せなかった。ようやく初めて先頭打者が出塁した９回、突破口を開いた松山に続く期待の４番・藤嶋が空振り三振、小西が三ゴロ、松本も右飛に倒れ、スコアボードには９つ目の「０」が並んだ。

　「スプリットは手元で細かく動き、直球も力強かった。藤嶋の後ろを任されているので１本打ちたかった。藤嶋をカバーできなかった。監督が一番悔しい思いをしていると思う」

　４本のファウルで粘り８球目の１４３キロの直球で三ゴロに倒れた小西が悔しさをにじませた。初戦の関東第一戦で放った左越えの特大弾で森田泰弘監督に打撃好調を認められ、打順６番から５番へ昇格。追い込まれた後はバットを一握り短く持ってボールに食らいついたが結果は出なかった。

　「うちの打者は果敢に攻めて行ってました。捉えきれなかったということでしょう。あのぐらいの球は想定していました。相手が甘い球を投げなかったということ。甲子園にはこういう投手がザラにいる。夏までに能力、精神力を身につけなければいけませんね」

　戦前からロースコアを予測していた森田監督は各選手に吉高が操る４つの球種、カーブ、スライダー、スプリット、直球のどれか一つに狙いを定めるように指示を出していた。だが、ことごとく先頭打者が打ち取られ、なかなか策を講じることはできない。１点を追う７回に得た１死二、三塁の好機を逃した後は明石商に突き放された。

　「試合後、キャッチボールをしながら“夏も絶対に来よう”と話しました」

　懸命に藤嶋をリードした高木は早くも前を向いた。エースで４番で主将。夏も中心に藤嶋がいることは変わりない。だがこの敗戦で“藤嶋を支えたい”という思いが部員全員に浸透したことは間違いない。　　（中根　俊朗）

　▼東邦・鈴木光（１番左翼で４打数１安打）不完全燃焼。狙い球は決めていたが、スプリットなどで先に追い込まれてしまった。

　▼東邦・濱嶋（２番遊撃で４打数無安打）（吉高は）腕の振りが良かった。ストレートと同じ振りでスプリットなどの変化球が来た。何が来るか分からなかった。愛知ではこんな速いスプリットは見たことない。次への課題です。

　▼東邦・松山（３番右翼で４打数１安打）ホームランを狙っていたのですが、打席ごとに配球が違っていた。相手の捕手の攻め方が良かった。ただ、打つことよりも投げられなかったのが反省点。打順が回ってこないイニングはブルペンで肩を作っていましたが、結局、投げられなかった。藤嶋１人では勝てない、と言うこと。