西武・森 驚弾3戦連発(1)プロ8打席目にして理想の打撃

[ 2015年1月24日 10:20 ]

昨年8月14日、オリックス戦の8回1死、左越えにプロ1号を放つ森

 衝撃の3戦連発だった。西武の新人・森友哉捕手(19)は、昨年8月14日のオリックス戦(西武ドーム)でプロ初本塁打を放つと、高卒新人では史上3人目の3試合連続本塁打を記録。プロ1号からとなると、46年ぶり史上2人目の快挙を成し遂げた。7月27日の初昇格からわずか20日後、新たな「強打の捕手」誕生を予感させた。

 逆方向への一撃から始まった。8月14日オリックス戦、6点を追う8回。代打で送り出された森は、2ボール2ストライクから榊原の外角直球を流し、左翼席にプロ1号を放った。「本塁打よりアベレージ打者だと思っているので、コースに打ち分けたい」という、理想の打撃をプロ8打席目で体現してみせた。

 大阪桐蔭3年時の13年夏の甲子園、日本文理(新潟)との1回戦で森は外角直球をこすり、左翼ポール際に本塁打を放った。そのときは浜風に乗り、フラフラとスタンドイン。西谷浩一監督に「あれは本塁打やないやろう」と冷やかされた。1年後、141キロ外角直球に逆らわず強振。風のない西武ドームで左翼席に流す力と技の一発を放ち、成長を見せた。

 金属バットを卒業したての高卒ルーキーとは思えぬ打撃だった。初めて木製バットを持ったのは、高校1年時の冬。大阪桐蔭では芯に当てる技術を磨くためオフ期間中、木製バットでも打撃練習を行う。「木は芯に当たらないと飛ばない。でも芯に当てるのは得意だったので、すぐに対応できた」と、すぐさま柵越えを連発した。横のケージで金属バットを使う先輩を、はるかに超える飛距離だった。当時、「調子のいいときはボールの方からミートしてくる」という境地にまで達していた。

 高校時代に磨いた集中力も生きた。同校ではシート打撃を1ボール2ストライクと、追い込まれた状況から始める練習がある。初球であっても、ストライク球を見逃せば即終了。「常に緊張感を持ってやっていました」。森の1年目、代打で18回起用され15打数6安打、打率・400。計3本塁打を放ち、5打点と驚異的な数字につなげた。

 そして翌日の8月15日日本ハム戦(西武ドーム)、「6番・DH」で念願の本拠地初スタメンを勝ち取った。0―0の2回に回ってきた第1打席。メンドーサが投じた145キロ直球を叩き、今度は右中間席に先制の2号ソロを放った。2打席連発は、高卒新人では93年の松井秀喜(巨人)、球団では86年の清原和博以来の快挙だった。

 伊原監督(当時)ら首脳陣は当初、じっくり育成することを目的に「1年目は1軍に上げない」という方針を打ち出していた。しかし、夏場までにイースタン・リーグ68試合で打率・341、41打点、5本塁打と新人離れした結果を残した。2軍からの猛プッシュを受けた首脳陣は方針を変え、7月27日の初昇格を決断。

 16日の日本ハム戦(同)で3戦連発を成し遂げた森。その裏側には、大阪桐蔭でバッテリーを組んだ1学年先輩・藤浪(阪神)からの「無言のエール」があった。

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