新井選手会会長 加藤コミッショナーを痛烈批判

[ 2012年9月5日 06:00 ]

会見の最後に自ら切り出し、コミッショナーの発言に遺憾の意を述べる新井会長(右は松原事務局長)

選手会がWBC参加正式表明

 WBCへの出場を表明した労組・日本プロ野球選手会の新井貴浩会長(35=阪神)が、会見で日本野球機構(NPB)の加藤良三コミッショナー(70)を公然と批判した。選手会側はNPBが大会運営会社WBCインク(WBCI)との交渉の結果、要望がおおむね実現したことを受け不参加決議は撤回した。しかし、出場に至る過程において漏らした加藤コミッショナーの発言に注文をつけた格好だ。

 7月20日の不参加決議から46日目。ついに日本のWBC出場が決まった。新井会長の会見は、心配をかけたファンに対するおわび、真剣に向き合ってきた選手全員へ謝意を示すなど穏やかに進んだ。その表情が一変したのは、終了間際だ。自ら右手を挙げ、「最後にいいですか?」と司会者を制すると、加藤コミッショナーに対する異例の批判を展開した。

 「WBC不参加の件について選手はこの問題に真剣に取り組んで、MLBに対してしっかりと野球のこれからのことを考えて対応しました。その一連の中での加藤コミッショナーの発言というものは残念でなりません」

 指摘したのは8月28日の「参加すべきだと思う。(東日本大震災の)震災復興という意味でもWBCを見たいという人がいる」という発言。まだ日本の権利獲得のために主催者サイドと交渉途中であるにもかかわらず、問題を「ファンのために」とすり替え、出場を求める発言が我慢ならなかった。新井会長は日本代表が持つべき権利の交渉などは、本来NPB主導で行われるべきと主張し「トップである加藤コミッショナーが主導権を取り、MLBと対決しないといけない」と訴えた。

 今回、加藤コミッショナーがMLBやWBCIとの直接交渉に乗り出すことはなかった。いつまでも静観する姿は、シーズン中にもかかわらず練習前の貴重な時間を使って事務折衝や打ち合わせを続けてきた選手会側には、歯がゆかったに違いない。出場か否か。その瀬戸際で発した球界トップの言葉が、無責任に聞こえても仕方なかった。

 新井会長はこの日、試合を控え出席できない各球団の選手会役員と電話で話をした上で、大阪近郊に滞在中の阪神・関本、巨人・内海、ロッテ・大松、今江ら選手会役員と協議し、WBCに参加することを決定。午前中にNPBにも伝えた。

 参加を決めた理由として新井会長が挙げたのは(1)選手会が主張していたスポンサー権、商品化権をおおむねMLBが認めたこと(2)NPBが(代表の)権利をしっかり管理し、事業部局を立ち上げるなどビジネスの構築を約束したこと、の2点。

 これらは選手会が大会主催者側に拳を振り上げ、NPBとの事務折衝の中で要求し獲得したもの。大きな収穫を得た一方で、新井会長は「これからが大事」とNPBに対しては継続的なリーダーシップを求めた。加藤コミッショナーへの批判は、大会3連覇へ向けて始動する前の最後にして痛烈なメッセージだった。

 ▼選手会・松原徹事務局長(新井会長のコミッショナー批判について)これだけは言わせてほしいとのことだったので、じゃあ最後に…と。トップの人が分かっていない発言になえたというか、がっかりでした。ただ「ファンのために」とすり替えて。われわれも次世代のファンのために頑張っていた。

 ▽加藤コミッショナーの発言 NPBと選手会の事務折衝を翌日に控えた8月28日、日本の立場について「参加すべきだと思う。(東日本大震災の)震災復興という意味でも、WBCを見たいという人がいると思う」と発言。「日本の野球ファンの夢をつなぐ必要がある」「最終的に日本の勝利感が得られるのはアメリカを倒すこと。それがファンの夢」などと見解を述べた。

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