女子W杯試合中に銃撃!香港選手が脚負傷

[ 2010年8月15日 06:00 ]

 ベネズエラで行われている野球の第4回女子ワールドカップ(W杯)で13日(日本時間14日)、選手が“凶弾”に倒れた。事件が起きたのは首都カラカスでの香港対オランダ戦。試合中に香港のイ・チュクウン選手がグラウンドに倒れ、救護班が駆けつけたところ、ふくらはぎに銃弾を受けていることが判明した。試合はすぐに中断。イ選手は幸い軽傷だったが香港代表は帰国を検討しており、前回覇者の日本も難しい対応を迫られそうだ。

 試合中に選手が銃撃されたのはスポーツ界では前代未聞の出来事。現場は軍施設内にある球場で、付近には治安の悪さで有名なスラム街があった。中国系ラジオ局のRTHKは「病院で銃弾を摘出されたイ選手はすぐに退院できる」と報道。ただし香港代表を率いるフェリックス・イップ監督は「多くの選手が動揺しており、大会を放棄して帰国することを検討している」と安全面を最優先させる方針を示した。

 ベネズエラでは銃器は許可制。闇市場で取引される“レンタル拳銃”が出回っており「ラテン・アメリカで最悪の治安」と言われるカラカス市内では凶悪事件が多発していた。事件を受けてベネズエラのエリアス・ハウア副大統領は「現在、警察が捜査している」と語ったが、誰がどこから銃を撃ったのか不明。軍の訓練の流れ弾だった可能性も指摘されている。

 日本は予選A組の香港とは違うB組に入っており、カラカスから西に80キロ離れたマラカイに滞在中。事件後、政府関係者から経緯などの説明を受けた。普段からホテルと球場を移動する際には兵士3人がバスに同乗し、パトカーも出動していたが、試合のない14日は全選手にホテルからの外出禁止令が出された。大会は11チームが参加して12日に開幕し、22日が決勝戦。ただし14日はすべての試合が延期され、各国の監督や関係者を集めた緊急会議が行われることになったが、最悪の場合は大会自体が中止される可能性もある。

 ▼胡桃広伸・日本女子野球協会副理事長(46)今のところ選手には大きな動揺はありません。ベネズエラ政府と国際野球連盟の関係者に詳細を説明してほしいと尋ねましたが“これから調査するので分からない”と言われました。日本の大使館とも連絡を取っています。大会中止の可能性もゼロではないと思います。仮に外務省から“帰ってこい”と言われれば、指示に従わざるを得ません。(マラカイに滞在中)

 ◆女子野球ワールドカップ 04年にカナダ・エドモントンで第1回大会が開催され、カナダ、日本、米国、オーストラリア、台湾が参加。その後は2年ごとに開催され、米国が第1回から連覇。08年に松山で開催された第3回大会では日本が優勝した。今回、日本は大学生10人を含む20人の代表メンバーを派遣している。

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2010年8月15日のニュース