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人生は砂時計…最後の一粒が落ちるまで悔いなく生きたい

[ 2015年10月1日 05:30 ]

 今回チト真面目に語ろうかなと思う。てなわけで一人称はワテとか俺でなく私だな。ほな“生命”みたいなことをざっくりと…。

 先日、私に届いた同期の訃報メール。聞けば仕事中に突然死。同期はこの5年で3人目だ。そのうちの1人は現役選手で自ら命を絶った。その半年前、電話で「哲ちゃんが頑張って生きてる間は俺も負けん」と相変わらずベタな励まし。私が逝けば「ボケか!」と、まずゲンコツをくらわしたろうと思っている。

 私の闘病生活は16年。同期以外にも私を捲って逝った身近な人間はざっと15人。生きていて一番辛いのはそういう人たちとの離別。その度に悲愁断腸の思いにさらされ「人生て儚(はかな)いな…」と考えさせられるのです。  

 先月亡くなった女優が西洋医学を捨て「邪気が取れる」と、金の棒がどーたらこーたらとニュースで知った。事実、かなりのガン患者がこういった代替療法に賭けるガン難民(病院、医師、治療に悩み、やがて途方に暮れながらさ迷う)になるという。私が思うのには二つ。まず医師と患者とのコミュニケーション不足。予約を取ってても何時間も待たされ、いざ診察は数分。つまり病院が商売繁盛笹(ささ)持ってこいの金儲け主義。生活の質を向上させるための緩和ケアは余命数カ月の患者にだけでなく、最初から治療と共にやるべきだと思う。

 もう一つは外部からの間違った情報に惑わされること。ワラにもすがる思いのガン患者はいとも簡単に洗脳される。ちなみに代替療法とは漢方薬・気功などの東洋医学、温熱、鍼灸(しんきゅう)、健康補助食品、催眠、宗教、占い師、霊感師など…これらはほんの一部でごまんとある。

 私はこれらが元凶と言ってるのではない。自分がこれでよかれと覚悟を持って決断したならばトコトンいけばいい。他人がとやかく問う問題ではない。ただし、代替療法の中にはガン患者につけこむ悪徳業者、パチもん人間がたくさんはびこっているのも事実。故に、たとえ親切心であろうと人に勧めないことが賢明だ。

 同期のヒトシがよく言ってるが、人生は砂時計。人はこの世に生まれた瞬間から運命の砂が落ちていく。砂の総量は神のみぞ知る。これは人生の長さ。上の砂は残りの人生。下の砂は過去の人生。最後の一粒が落ちれば死ぬ。確実に落ちていく砂を感じとれる人間のみが今、生きている時間の大切さを知り人生を濃くする。そして幸福はなるものではなく感じるもの。

 人生は諸行無常(この世の形あるものすべて変化する)。今、健康だとしても油断していると私を捲るハメになるぞ。たった一度の人生、悔いはないなとニッコリほほ笑んで死にたい。えっ?ワテとしたことがほんまに最後まで真面目に書いてしもたがなぁ~。(元競輪選手)

 ◆齊藤 哲也(さいとう・てつや)1959年(昭34)4月生まれの56歳。元競輪選手(兵庫支部)。45期生の卒業チャンピオンとして80年にデビュー。S級で活躍も40歳で悪性リンパ腫により、03年7月やむなく引退(優勝25回)。本紙予想コラムでは高配的中数知れず。アナ車券の達人!! 兵庫県、S阪神のアドバイザーとしても活躍。現在もガン闘病中のカリスマ的患者。

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