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鎖骨だけなら10回折った…痛いかって?屁でもないわ!

[ 2012年3月23日 06:00 ]

 「鎖骨折ったら痛い?」この質問は多い。「蚊に刺されたぐらいかな」と、ヤンチャ坊主を売りにしてきた俺らしい答え。でもけっして役者ではない。特別痛みに強いのか鈍感なのか、それとも真性M体質か(いつも女王様にいたぶられてましたby友人証言)。なんであれ俺は鎖骨ごときマジで屁とも思ってない。

 競輪選手の職業病といえば落車。打ちどころが悪ければ骨なんて簡単に折れ、ほとんどの選手がこの洗礼を浴びる。よくやる箇所は鎖骨と肋骨。俺は鎖骨だけなら10回折った。「アッチャ~また折れとるがな…」と手負いの獅子状態でよく再乗もした。でもこれが原因で関東の某競輪場で大モメにモメた。医務室の先生は元軍医をしてたのが自慢のおじいちゃん。「あん?病院連れていけ?再乗した人間が骨折してたらわしゃ医者辞めたるわい!」と意味不明の激怒。「ほな俺は選手生命を賭けるわ!」なが~いすったもんだの後ようやく病院へ。診断結果は粉砕複雑骨折。「それみてみ!成敗してやる!」。俺はイの一番に伝言を頼んだ「今度会ったら戦争の話でも聞かして下さいや」と。人生の大先輩は敬う。少しは俺も大人になった…かな。

 昨年の夏、金子龍介が転覆で鎖骨を折った。「競艇選手が鎖骨て?珍事件や~笑かしよる~」。龍ちゃん「メチャ痛い!」とアピールしてたけど、なんせ俺にはちんぷんかんぷん(笑)。でもちょっと不安になった。ひょっとして鎖骨骨折って痛いのかな…。

 しばらくしてタイガースの桧山が鎖骨骨折したとスポーツ紙の1面を飾った。少女をかばっての事故。龍ちゃん事件で笑かしてもろた次は涙ちょちょ切れる美談でございます。でもあの尋常でない痛がり様を見て俺の不安は一掃揺らいだ。ひょっとせんでも鎖骨って痛いのかな…。

 年末にスポニチレース部の忘年会に参加した。現スポニチ評論家で元競艇選手の中道善博さんと津田冨士男さんも同席。「おもろいわ~」と俺のコラムを読んでくれてることに驚いた。2人とも気さくな方だが津田さんはさすが関西人。龍ちゃんの鎖骨の話で盛り上がった時「何を隠そうワシも名誉の負傷で鎖骨はやっとる」「エッー?」「転覆やのうて酔っぱらって家の階段から転落や」。おもろいおっさんである。

 競馬ライターの井上オークスちゃんも同席。見た目と同じく鎖骨もさぞかし美人なんでしょうね。

 弟弟子の沢田が初めて鎖骨やった時「ウコツやってしまいました」「なんやそれ?」「なんやそれって右の鎖骨です」「…………」今回は鎖骨特集でした。

 ◆齋藤 哲也(さいとう・てつや)1959年(昭34)4月生まれの52歳。元競輪選手(兵庫支部)。45期生の卒業チャンピオンとして80年にデビュー。S級で長きにわたり活躍し、03年7月に引退(通算183勝、優勝25回)した。本紙予想コラムでは高配的中の実績、数知れず。アナ車券の達人だ!!

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