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冨好の引退セレモニーに嫉妬…

[ 2013年8月29日 06:00 ]

 どんな職種であれ、長年開いていた扉を自ら閉める引き際の美学は一通りではない。花満開のまま惜しまれながら身を引くのもよし、過去の栄光を振り払いながらボロボロの枯木になるまで頑張るのもまたよし。そんな引退というたった二文字の中に、人それぞれのドラマチックなストーリーを垣間見る。でもワテみたいな事情だと美学もへったくれもないのです。

 先日、ボートレーサーの冨好和幸(55=兵庫)がワテと同じ境遇で引退した。ワテが魚ちゃんとペアボートで華麗なダブルモンキーターンを披露した日、支部長してはった冨好兄ちゃんから「弟らから聞いとります。病気に負けず頑張って」と励ましの言葉をいただいた。そのわずか数カ月後、青天のへきれきとも言うべき出来事が自分へのガン宣告。あっちこち転移するガンを克服しながらも必死に現役にこだわって頑張っていたが今年6月、肝臓を三分の一摘出した後、治療に専念しようと決意したらしい。

 弟は吉本芸人“ちゃらんぽらん冨好真”(ちゃらんぽらんで上方お笑い大賞。上方漫才大賞。現在はピン芸人)。

 真っちゃんに「いよいよ兄ちゃん明日でんな~」と電話。「ま~誰でもいつかこの日来るよってにしゃ~おまへんわ~。それよか哲っさんは体調どないでんのん?」と、こんなときでもワテへの気配り。俺が引退してからも営業活動を掛け合ってくれたりと「ちゅ~と半端やなぁ~」でない男前ぶりは健在。

 引退レースを見事1着で飾った兄ちゃん。しれっとしてたはずの弟は号泣してたそうな。そして引退セレモニーに出て来た真っちゃんは、芸人魂全開でメチャクチャおもろい兄弟漫才で盛り上げ花を添えた。ワテもステージに呼ばれマイク渡されたけど、あの爆笑の後じゃ、しどろもどろトークになったことは言うまでもないでっしゃろ。

 笑えば笑うほどNK細胞(免疫力の一種)が活性化する。これは医学的に立派に認められてる事実。兄ちゃんへの最良の特効薬は“ちゃらんぽらん冨好”での一斉風靡(ふうび)でっしゃろ!ほんま頑張っておくんなはれや。「知らんわ~」。えっ?ここでこのギャグ?ていうより、兄弟漫才が一番手っ取り早いやろ~とワテ真剣に思いましたが…(笑い)。

 なにかとセンチになりやすい引退セレモニーが、浪花節的だったことがなにより素晴らしかった。ワテの引退は地元が廃止されてたから大津びわこ競輪場。よってセレモニーも無し。うらやましかった。いや、ちょっぴり嫉妬かな…。

 真っちゃんの息子祐真もボートレーサー(110期)になった。1日でも早い水神祭を期待する。インの鬼とその名を売った和幸兄ちゃん。深いインは御手の物。いつか深いぃぃ~ん話で話題となることでしょう。“死にぞこない倶楽部”名誉会長・齊藤哲也。

 ◇齊藤 哲也(さいとう・てつや)1959年(昭34)4月生まれの54歳。元競輪選手(兵庫支部)。45期生の卒業チャンピオンとして80年にデビュー。S級で長らく活躍していたが40歳で悪性リンパ腫により、03年7月やむなく引退(優勝25回)。本紙予想コラムでは高配的中数知れず。アナ車券の達人!!兵庫県、サテライト阪神のアドバイザーとしても活躍。現在もガン闘病中14年のカリスマ的患者。

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