こんな人脈こんな話

“親方”の復帰は時間の問題 華麗なる逃げを見せてくれ!

[ 2012年6月13日 06:00 ]

 ある朝、柳原茂巳(岡山)からの突然の電話で目が覚めた。俺が現役の頃、よく一緒にヤンチャ遊びした悪友である。「哲っちゃん…世間話は後回しで、親方がなんで長期欠場しとるか知っとる?」「いいや知らんで」「ならおねげぇーがあるんじゃ。あいつ白血病で今でえれー目におーとんじゃ。ワシら何言ってええか分からんけ哲っちゃんのコラムで一発励ましてやって。じゃー頼んだよ」と結局、世間話もせず電話は切れた。茂巳はいつもながら男前なやつであるがこれもまた親方の人徳なんだろう。

 増成富夫(岡山66期41歳)通称親方。180センチ90キロの巨体でいつも頭は丸刈り。顔はゴリ系に属するが、よく見りゃーええ男。でもって底無しの酒豪。親方とは見た目だけで名付けられたと思いきや、本当の由来は豪放磊落なその性格から付いたらしい。もちろん戦法は西日本を代表するド先行屋。通算442勝で優勝32回。凄いのが2004戦で途中棄権ゼロ。S級の過激な戦場でこれは神業か奇跡。おそらく他に誰もおらんだろ。

 増成に電話をしてみた。病名は急性骨髄性白血病で俺(悪性リンパ腫)と同じ血液のガン。現在、抗がん剤治療四クール目を終えたばかりで順調とのこと。宣告された時はかなりのショックだったらしいが「ほんまかいな?」と俺は疑う。というのは…退院してる時は軽い晩酌OKを「ビール大ジョッキー15杯で置くのはツライです」と独自の解釈。危機感の度数は0%のノンアルコールですな。

 増成ネタを芸人スギちゃん風で紹介しましょう。「昔みんなで児島競艇場の花火大会に行ったぜ~」「マスちゃん花火上がる前にはもうベロンベロンだぜ~ワイルドだろ~」「チョー暑かったから三歳になる息子の脚を海につけようとしたんだぜ~。ドッボーン!一瞬で一緒に沈んでいったぜ~。ワイルドだろ~」「周りの選手は息子だけをすぐ助け出してマスちゃんは見捨てたぜ~。みんなもワイルドだろ~」「マスちゃんは必死にもがくとたまに海面に顔が出たぜ~。みんな腹抱えて大笑いしてたぜ~。ワイルドだろ~。その横で大笑いしながらカミさんはビデオ録画もしてたぜ~。どうだもっとワイルドだろ~」。

 どない考えても増成は俺と同タイプ。俺があーだこーだと出る幕もないわな。岡山の病院でも「こんな病人見たことない」と話題沸騰中らしい。これもまったく俺と同じパターン。心配はいらん。復帰は時間の問題。一日でも早い加齢ぃゃ華麗なる逃げを見せてちょ!

 ◆齋藤 哲也(さいとう・てつや)1959年(昭34)4月生まれの52歳。元競輪選手(兵庫支部)。45期生の卒業チャンピオンとして80年にデビュー。S級で長きにわたり活躍し、03年7月に引退(通算183勝、優勝25回)した。本紙予想コラムでは高配的中の実績、数知れず。アナ車券の達人だ!!

続きを表示

バックナンバー

もっと見る