阪神・岩崎の覚悟 虎ブルペンの“伝統”守る 「姿勢でも成績でも引っ張っていけるように」

[ 2024年3月28日 05:15 ]

笑顔を見せる岩崎(撮影・後藤 大輝)
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 阪神・岩崎優投手(32)が27日、本紙に塩対応ではなく思いの丈を打ち明ける企画「成し遂げる その先へ」で開幕直前の意気込みを激白した。岡田彰布監督(66)から新外国人のハビー・ゲラ投手(28)とのWストッパー構想を掲げられるなど今季もブルペンの中心を担う左腕はチーム、個人ともに優勝した昨年ほど順風満帆にいかない1年であることも想定内。その中で、毎年安定感を誇示してきた虎のブルペンの伝統を守る“守護神”として連覇へ貢献する決意を示した。

 岩崎は、何度もそのフレーズを口にした。

 「今年はそんなにうまくいかないと思います。シーズン、そんなに簡単にいくとは思ってないので。うまくいかないと思ってやります」

 うまくいかない…それは「弱気」や「後ろ向き」という表現とは違う。11年目を迎えた左腕の経験と、泰然自若のメンタルからくる「覚悟」と言い換えられる。昨年、チームは38年ぶりの日本一。不振の時期はほとんどなく、9月は破竹の11連勝で18年ぶりのリーグ優勝を決めた。球団初のセ・リーグ連覇を目指す24年。オープン戦でチームは単独最下位に沈み、優勝の原動力となった救援陣も不振の選手は少なくない。岩崎自身は順調に調整マウンドを重ねてきたが、開幕後の難局を想定するようにうなずいた。

 「昨年、数字を残した選手も同じようにできるかは分からない。それは自分もそうです。交流戦ぐらいまでは(ブルペンの)メンバーも固まらないと思うし、大変だと思う」

 「うまくいかない」の先には続きがある。「仮にスタートが悪くても勝負は9月だと思って。うまくいっても落ち着いて、うまくいかなくても焦らずに。そういう気持ちを持って自分はやっていくので」。これは、救援陣の中の最年長として他の面々にも浸透させていく“心得”だろう。

 ゲラとのWストッパー構想も掲げられているが、自身は主に8回を担い新助っ人にバトンを託すことが多くなる可能性が高い。一昨年、昨年もセットアッパーから守護神に配置転換されて役割を全うしただけに「可能性の一つとしてゲラがはまらなかった時も考えていますし、頭の中で準備していたら慌てないで」とあらゆる状況を想定して日々戦う。

 むしろ、苦境、逆境は望むところだ。「今年は相手も必死にタイガースを倒しにくるだろうし、自分に対しても他球団の打者はそういう気持ちだと思う。その相手をどう上回るか。だからおもしろいし、成長もできる」

 昨年もチームはリーグトップの救援防御率をマークしたようにブルペンの安定感は虎の“伝統”になりつつある。「今年もメンバーは変わっていくでしょうし、新しい選手には自分が一から教えていく。(ブルペンの安定感は)続いていけばいいと思うし、自分は姿勢でも成績でも引っ張っていけるようにしたい」

 藤川球児氏が持つ球団最多ホールドまで31とし、あと34セーブで通算100セーブにも到達する。セットアッパー、クローザーとそれぞれのポジションで狙える金字塔には「セーブは2年ぐらいかけていけばいいんじゃないですか」と頬を緩ませた。「1年を通して“どっしり”いきたいですね。トータルで昨年より良い成績、ブルペンでも一番の数字を残せたら」

 連覇への険しく、厳しい道を先頭に立って歩けるのは背番号13しかいない。(遠藤 礼)

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