ダルビッシュ 4番手で登板150キロ超連発!魂の27球 野球人生“最後”の日本登板

[ 2023年3月17日 05:30 ]

WBC準々決勝   日本9-3イタリア ( 2023年3月16日    東京D )

<日本・イタリア>7回、3人で抑えて吠えるダルビッシュ(撮影・光山 貴大)
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 侍ジャパンは16日、カーネクストWBC準々決勝ラウンド東京プールのイタリア戦に9―3で快勝し、出場チーム中唯一となる5大会連続の準決勝進出を決めた。「3番・投手兼DH」で出場した大谷翔平投手(28)は、4回2/3を4安打2失点。7回からは4番手でダルビッシュ有投手(36)が2回1失点で、最初で最後かもしれない夢のリレーが米国行きへの架け橋となった。準決勝は20日(日本時間21日午前8時開始)、メキシコとプエルトリコの勝者と対戦する。

 日本での登板は人生最後かもしれない。大谷とのリレーは最初で最後かもしれない。かつてはやんちゃで孤高な面もあったダルビッシュも、もう36歳。年齢を重ねて変わった。

 「これが最後になるかもしれないので、かみしめて投げた。ここで生まれ育ったおかげで今があるので、感謝しながら投げた」

 4番手で上がった7回、3者凡退に斬ると吠えた。全27球のうち、半分に迫る13球もカットボールを投じた。中距離打者がそろう相手打線に、バットの芯を外させるためだ。ソロこそ浴びたが2イニングを2安打1失点。世界一への道筋をつなげた。

 レスリング元世界女王の聖子さんと結婚。家族に恵まれ「野球選手の前に父親であり、夫。特別ではない」と人生観が変わった。宮崎強化合宿にメジャー選手でただ一人参加。12年から温暖なアリゾナやフロリダでキャンプを張ってきた。寒い日本でのスタートはシーズンに悪影響をもたらす恐れがある中で日本のために決断した。

 17時間の時差のあるサンディエゴにいる家族とはテレビ電話で連絡を取り続ける。「みんな起きるまでは」と疲れていても日本時間の午後11時過ぎまでは眠らずに待っている。時差もあって「寂しいですよ」と正直に話す。報道陣の前で「妻のことが好きなんです」と笑ったこともある。「チームダル」と化した合宿の報道を目にした聖子夫人からは「持ち上げられすぎじゃないの」と言われ「恥ずかしい」と明かしていた。

 新たに6年契約を結んだパドレスでは開幕投手の候補に挙がる。メジャーで通算242試合は全て先発。日本ハムでも救援は3度だけで10年が最後だ。世界一連覇した09年WBCは先発から抑えに回ったが、原監督(巨人)の説得に2日間も首を縦に振らなかった。意固地だった右腕が、日本のために何でもやる姿勢を示してきた。合宿からの貢献に栗山監督は「“ダルビッシュ・ジャパン”と言ってもいい」と最大限の敬意を表した。

 登板後はブルペンに直行して投球練習。調整のことで頭がいっぱいだった。決勝のマウンドに、中5日で登板する可能性がある。「どんどん仲良くなって、結果が出てチームはさらに一つになった。米国でみんなの明るい顔が見たい」。家族が待つ、14年ぶり世界一が待つ、米国にダルビッシュは帰る。(神田 佑)

 ≪09年WBCで胴上げ投手≫ダルビッシュ(パドレス)は日本ハム時代に3試合中継ぎで救援登板。06年9月27日ソフトバンク戦で2回無失点に抑え唯一のホールドをマーク。08年10月1日楽天戦(2回)、10年9月28日オリックス戦(1回)も無失点に切り抜けた。WBCでは09年に準決勝の米国戦、決勝の韓国戦と2試合救援登板。米国戦は1回無失点。韓国戦は9回裏から登板し3―3に追いつかれたが、10回表にイチロー(マリナーズ)の適時安打で勝ち越すと、その裏を無失点に抑え胴上げ投手になった。


 ▽大谷とダルビッシュ ダルビッシュが日本ハムからメジャー挑戦した12年の秋、ドラフト1位指名で大谷が日本ハムに入団。ともにプレーすることはなかったが、絆は固い。ダルビッシュが背負った日本ハムの背番号11を、大谷が継承。15年オフには、既に大リーグに移籍していたダルビッシュがトレーニングするジムに足しげく通い、先輩が作成したメニューをこなした。この期間だけで体重は7~8キロ増え、筋骨隆々の体となる礎を築いた。大谷は「栄養面やトレーニング法を考えられていた。凄く勉強になった」と振り返る。その後も疑問が出れば連絡し貪欲に吸収していった。

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2023年3月17日のニュース