【虎番リポート】元阪神の守護神・呉昇桓「オヒサシブリデス」 ミエセス活躍に太鼓判「パワーある」

[ 2023年2月4日 07:00 ]

色紙にハングル文字で「アレ」と書き、阪神の“アレ”を願った元阪神の呉昇桓(撮影・後藤 大輝) 
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 スポニチの阪神担当が「見たこと」「聞いたこと」「感じたこと」を届ける「虎番リポート」。今春キャンプ最初の休日だった3日は遠藤礼記者が沖縄県恩納村の韓国サムスンのキャンプ地を訪れ、14~15年に阪神に在籍した呉昇桓(オスンファン)投手(40)と再会した。日米韓で通算492セーブを誇るレジェンド。虎の仲間への思い、指導者でのタテジマ復帰プラン、21年東京五輪で本塁打を打たれた阪神の新助っ人、ヨハン・ミエセス外野手(27)の印象などを聞いた。

 “石仏”の異名がはがれ落ちるほどの笑顔だった。宜野座キャンプ初めての休日は朝からレンタカーで「ONNA赤間ボール・パーク」へ。ベンチ裏から「オヒサシブリデス」と日本語で迎えてくれたのが呉昇桓だった。

 在籍した14年から2年間は“スンファン番”。20年に沖縄で再会した時よりも、さらに穏やかな表情が印象的だ。阪神は第1クールが2勤だったと伝えると「こっちは全部4(勤)です。タイガースは休み」と納得いかない様子だった。

 「昨日投げたんだ」とノースロー調整で、午前中の練習が一段落したところで取材時間を設けてくれた。40歳になった今季も「そのつもりで準備している」とクローザーを担う予定。日米韓通算500セーブの節目まで残り「8」に迫る中、目標は違うところにあるという。「韓国で400セーブまで30個残っているので、まずそれを目指して」。目の前の快挙より、シーズンフル回転してこそ到達できる金字塔に照準を定める。かつて取材していた身としては「らしいなぁ…」と懐かしかった。引退という言葉にも首を振った。

 「ベテラン選手は実力や技量の前に先に年齢を言われることが多いが、自分がそういうの(風潮)を変えたい。自分の体が良くなかったら引退を考えると思うけど、全然、落ちてないですし、引退は考えていない」。丸太のような二の腕を見れば、それもうなずける。

 虎番のミッションとして2年前の東京五輪で被弾したミエセスについても聞いた。「自分からホームランを打った選手が阪神に入ったと、記事で見ました」とニヤリ。「ホームランを打たれたので、パワーがあるバッターだなと思う。阪神がいいチームなので良い成績を残せる」と石直球を破壊したパワーに太鼓判を押した。

 阪神を去って7年以上がたち、当時若手だった梅野、岩崎らが年長クラスになったことには目を丸くし「岩崎って、もうベテラン?新人だったんですよ」と苦笑い。筋骨隆々のボディーは健在でも「私はオジイサンデス」と少しだけ肩を落としていた。ブルペンの仲間だった安藤、福原の先輩たちも今は1、2軍の投手コーチ。最後に「指導者として阪神復帰はあるか」と聞くと、これがまんざらでもなかった。

 「機会があれば(日本に)行って自分も勉強できると思うし、自分が持っている(成功の)秘けつとかも教えることもできる。機会があれば、ぜひ、それはやってみたい」。阪神在籍時は必要以上のことは口にせず、これだけ冗舌な姿は記憶になかった。石仏の神対応を“手土産”に球場を後にした。(遠藤 礼)

 <韓国語でアレは反対の意味>○…取材後、カメラマンの要望に応えてハングル文字で“アレ”を色紙に記して写真に納まった。しかし、「アレ」は韓国語で「下(した)」の意味があるといい岡田監督が優勝の言い換えとして使用している意味とは正反対。通訳も「下という意味ですけど…」と苦笑いを浮かべていた。

 ◇呉 昇桓(オ・スンファン)1982年7月15日生まれ、韓国出身の40歳。サムスン入団1年目の05年から抑えとして活躍し新人王。14年に阪神入りし2年連続で最多セーブ(39、41)。メジャーでも42セーブを挙げ19年8月にサムスン復帰。KBO(韓国野球委員会)通算370セーブは歴代最多。08年北京五輪と21年東京五輪および06、09、13、17年WBC韓国代表。1メートル78、93キロ、右投げ右打ち。

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2023年2月4日のニュース