楽天・田中の1メートル フォーム固めへ捕手前へ 距離短くして負担軽減…その分球数投げる

[ 2023年2月4日 05:20 ]

ブルペンで投げ込む田中将(撮影・光山 貴大) 
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 【キャンプ追球 数値にFOCUS】楽天の田中将大投手(34)が3日、ブルペン入りして今キャンプ初の本格的な投球練習を行った。あえて捕手に規定の18・44メートルではなく、1メートル近い17・44メートルの距離で構えるように指示。オフから取り組む大幅なフォーム改造を定着させるための意識付けが、縮めた「1メートル」という距離に表れていた。

 捕手を立たせた状態で7球のウオーミングアップを終えると、田中将は下妻貴寛ブルペン捕手に声をかけた。「お願いします。ちょっと前に出て。ベースの上をまたいで座ってもらって」。セットポジションから一球ごとに体の動きを細かく確認する。途中、カーブを3球交えながら31球を投げ込んだ。

 短縮した1メートルには明確な意図があった。オフに投球フォームをフルモデルチェンジ。グラブを低く構え、左足はクローズド気味に。試行錯誤している段階だからこそ、反復練習に重きを置く。「数を投げたいので。いきなり正規の距離で増やすよりも、短い距離で負担を減らしつつ動きの確認をしたかった」。捕手との距離が近ければ、その分だけ出力や疲労を抑えられる。そこで生じた余力を投げるスタミナに回し、今は一球でも多く球数を増やすことで体になじませたかった。

 32球目からは捕手に「普通のところで」と伝え、通常の位置まで下がってもらった。そこから20球。「あ~何だ今のは…」「うわ~膝が折れた」などと声に出す場面もあり、「距離が近い時は良い感じで投げられていたけど、18・44になるとまだまだズレが」と課題を再確認していた。下妻ブルペン捕手は「正規の距離だと出力が出すぎてしまう。たかが1メートルでもかなり遠く感じるので順を追って投げるための練習だと思います」と証言した。

 「試合中にそういう(フォームの)ことを意識して投げるのはよくない。自然と投げられるように、今はとにかく数を投げたい。ブルペンだけでなくてキャッチボールでも体に染みつかせたい」

 キャンプ初日は捕手が立った状態で18球、2日目も同様に20球投げた。3日目で初めてユニホーム姿でマウンドに立ち、調整のギアを一つ上げた。「まだ3日ですからね。まだまだ調整段階なので」。一足飛びで理想のフォームを手に入れられる魔法は存在しない。焦ることなく時間をかけながら、丁寧に地道な作業を積み上げていく。(重光 晋太郎)

 《ブルペン横をファンに開放「活気出てくる」》この日からブルペン横のエリアがファンに開放された。30人ほどが入れる観戦用の台の上からプロの投球練習の臨場感を楽しんだ。ブルペン一番乗りだった田中将は「見られているという意識があるだけで自然と活気が出てくる。投球を近くで見て“球が速いな”とか“凄いな”って思っていただければ」と歓迎。古巣復帰した21年は無観客キャンプで、昨年も観戦エリアが大幅に制限されていた。2度目のブルペン入りとなったドラフト1位・荘司(立大)にとっては、ファンの前で投球するのは初めて。57球を投げ「見られている方が気持ちも入ります」と笑顔だった。

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2023年2月4日のニュース