DeNA育成4位・渡辺が仮契約「高校を辞めたけど、野球辞めなければこういう舞台に立てることを証明」

[ 2022年11月18日 16:28 ]

DeNAと育成ドラフト4位で仮契約を交わしたBC茨城・渡辺(右)は担当の稲嶺スカウトから帽子をかぶせてもらう
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 DeNAから育成ドラフトで4位指名された渡辺明貴(あき)投手(22=BC茨城)が18日、茨城県内のホテルで支度金280万円、年俸340万円(金額はいずれも推定)で仮契約を交わした。背番号は106。

 歩んできた苦労をポジティブに捕らえ、新天地に挑む。父・茂貴さん(51)が監督を務める山梨の「笛吹ボーイズ」から静岡県内の高校に進学したが、野球部特有の空気になじめず約3カ月で退部。高校も中退し、牛丼チェーン店「すき家」などでアルバイトを重ねた。2015年、通信制の第一学院高に入学し、クラブチームで野球を再開。トラウアウトを経てBC滋賀に入団し、同リーグ初の高校生独立リーガーとして話題を呼んだこともあった。

 ただポテンシャルはありながらアスリートとして基礎ができていない。19年も野球をあきらめかけたが、知人の紹介で韓国の独立リーグで白球を握り始めると、米国内でマイナーリーグ選手と試合を行う「アジアン・ブリーズ」にも参加。紆余(うよ)曲折を経て昨季、BC茨城に入団すると飛躍のきっかけをつかんだ。同球団の色川冬馬GMは「走り方はもちろん、マウンドまで走ってお辞儀することも知らなかった」と証言。技術を学び、周囲と切磋琢磨(せっさたくま)しながら、体重も3年前の75キロから105キロまで増量に成功した。「ファストフォードじゃなくて炭水化物とたんぱく質を採りながらです。今は動きやすいし、レベル的に上がったと思う」。今年9月13日、巨人3軍との一戦に自己最速152キロを計測。同リーグ2位の45試合に救援で登板するタフネスぶりが、NPB入りにつながった。

 「高校を辞めて、クラブチームに入ったのは僕だけじゃない。野球を辞めなければ、いつかこういう舞台に立てることを証明じゃないけど、できたと思う」。プロ入りの夢こそ現実となったが、スタートラインに立てただけ。「1日も早く支配下(登録)に入れるように日々努力していきたい」。将来は終盤の3イニングを任せられるリリーバーを目指し、計5球団を渡り歩いた右腕が、ハマのマウンドで躍動する。

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2022年11月18日のニュース