球史を塗り替えた阪神・佐藤輝「まだまだ打ちたい」新人から2年連続20号、左打者史上初の快挙も貪欲

[ 2022年9月24日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神7―3広島 ( 2022年9月23日    マツダ )

<広・神>6回無死一塁、右越え2ランを放ちナインとタッチをかわす佐藤輝(撮影・大森 寛明)
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 いくぞ逆転CS弾! 阪神・佐藤輝明内野手(23)が23日、広島戦の6回に右翼へ特大の20号2ランを放った。左打者で新人から2年連続20本到達は、プロ野球史上初の快挙。球史に名を残す一発がダメ押し点となり、広島と並んで4位に浮上した。残り3試合全勝へ、今季限りで現役を引退する糸井の後継者若き「超人」が号砲を鳴らした。

 決して油断はできない展開だった。2点リードの中盤6回。無死二塁で迎えた第3打席だ。打った瞬間フェンスオーバーを確信した佐藤輝は、感触をかみしめるかのように一塁方向へ歩き出した。今季は広島に対してチームは12戦目で初勝利。もっとも苦戦し、苦手としていた相手にトドメを刺した。

 「チームとしても負けられない戦いが続いている。競った展開になっていましたし、次の1点が大事だと思っていた。そういう意味で一発が出て凄く良かった」

 序盤から点を奪い合う展開で、どうしても追加点が欲しかった状況。佐藤輝の意識も「最低でもランナーを進める気持ち」とチームバッティングを心がけていた。結末はフルカウントからの7球目。中崎が内角に投じた144キロ直球を振り抜いた打球は、右翼2階席下の看板を直撃する特大弾だ。球団史、そして球史を塗り替える一発は、大器らしい圧巻の放物線だった。

 昨季の24号と同様にマツダスタジアムでの最終戦で飛び出したアーチは、今季の同球場初本塁打。2年連続セの本拠地全制覇となる一発で、球団では田淵幸一以来史上2人目、左打者に限るとプロ野球史上初の新人から2年連続20本塁打に到達した。「そういう記録になったことはうれしい気持ちはあります。だけど、まだまだ打ちたい気持ちがあるんで。満足はしていない?そうですね」。偉業と言っていい記録も、背番号8にとってはただの通過点にすぎない。

 兄貴分として慕い、心から尊敬していた糸井は引退セレモニーで「今年もまだチャンスはあります。信じています」と力を込めた。超人の称号を継ぎ、そして優勝への熱い思いを託された男は、引退試合の次戦に代名詞とも言える豪快弾で応えてみせた。

 「もう全部勝って。できるだけのことはしたいと思います」。広島と4位で並び、勝利した3位・巨人とは変わらず1・5ゲーム差。自力でのクライマックスシリーズ(CS)進出の可能性はなく、依然として厳しい状況は続く。それでもやるべきことはただ一つ。残り3試合全勝へ、次世代の若き「超人」が号砲を鳴らした。(阪井 日向)

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2022年9月24日のニュース