田淵幸一氏 揺るがない佐藤輝の形つくって 村上と比較されるのは、阪神の4番としての宿命だ

[ 2022年9月24日 07:00 ]

セ・リーグ   阪神7―3広島 ( 2022年9月23日    マツダ )

阪神時代の田淵幸一

 一定の評価はできる佐藤輝の2年目だ。阪神では69、70年の私以来の「新人年から2年連続20本塁打」。左打者ではプロ野球史上初の記録だ。強い浜風と向き合う甲子園を本拠地とし、中軸としての重圧を感じながらのシーズンで前進を続けた結果と言えるだろう。

 1年目の反省から、上段だった構えを下げて、自然体に近い構えにしたことが、2年目の成績につながった。三振は大きく減り、打率、打点も改善した。自分に課せられた課題を意識したからこその数字だと思う。

 ただ、トータルの成績に佐藤輝は納得していないはず。やはり20本塁打では喜べない。球界でもトップクラスの飛距離、パワーを持ったバッターだけに、阪神の4番として30本塁打がひとつの基準になる。55本塁打をクリアしたヤクルト・村上の活躍と比較されるのも、ある意味では宿命だ。好不調の波はあるし直球に力負けしている打席も目についた。「もっと上を目指してほしい」とチームもファンも思っている。本当の意味での佐藤輝の挑戦はこれからだ。

 村上との比較で言えば打席での構え、安定感が違う。弓を引っ張った形を保ち、微動だにせず下半身始動する村上に比べると、佐藤輝は上下半身ともに無駄な動きがあり、捉える確率はどうしても落ちる。タイミングの取り方も一定ではない。

 2年連続20本塁打に満足することなく、このオフは飛躍に向けて取り組んでほしい。軸となる背筋を鍛え、他の打者の良いところは吸収し、マネもして、揺るがない佐藤輝の形をつくってもらいたい。目指すのは獲物を待つ虎のような迫力ある構えだ。(スポニチ本紙評論家)

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2022年9月24日のニュース