中日・福留の男泣き 引退試合「孝介コール」に24年分の感謝こみ上げ「僕は本当に幸せ者です」

[ 2022年9月24日 04:45 ]

セ・リーグ   中日3―9巨人 ( 2022年9月23日    バンテリンD )

<中・巨>引退セレモニーで涙を流す福留(撮影・椎名 航)
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 中日・福留孝介外野手(45)が23日、現役最後の試合となる巨人戦(バンテリンドーム)に9回の守備から出場。守備機会はなく、最後の打席は速球に詰まらされ二飛に終わったが、日米通算2450安打の大打者は最後まで全力プレーを披露し、自身が持つセ・リーグ野手の最年長出場記録を45歳4カ月と更新。試合後には引退セレモニーが開催され、スピーチでは涙で感謝を伝えた。

 こらえ切れなかった。引退セレモニーで、子どもの頃からあこがれていたPL学園の先輩・立浪監督から花束を贈られ、肩を抱かれると福留の目に涙が浮かんだ。

 「泣くまいと思っていたけど…。我慢できなかった」

 3万5669人の大観衆が見守ったスピーチでは声を震わせながら感謝を伝えた。

 「2年前、このドラゴンズに帰ってきて、もう一度このユニホームでプレーできたこと。そして自分の野球人生がスタートしたこの場所で、ファンのみなさんの声援に包まれてユニホームを脱げる僕は本当に幸せ者です」

 24年間の集大成。最後の出番は9回の守備からだった。2軍調整中に左ふくらはぎを負傷。痛みをこらえて定位置だった右翼の守備につくと大歓声が上がった。その裏、1死で迎えた最終打席。1ボールから鍬原の内角149キロにフルスイングで応じ、詰まった二飛に倒れた。

 「結果どうこうより、自分らしくバットを振って終わろうと思った。前に飛んでくれて良かった」

 引退セレモニーでは思い出のシーンに続いて、中日、阪神、メジャーリーグと多くの関係者からメッセージ動画が寄せられた。さまざまカテゴリーで活躍した福留らしい豪華な顔ぶれだった。胴上げでは後輩の手で背番号と同じ9回宙を舞った。場内一周では「孝介コール」がいつまでも鳴りやまなかった。

 試合後の通路では万全の状態で最後の試合を迎えられなかったことを「24年間で唯一の後悔かな」と悔やみつつ「現状の中で目いっぱいやらせてもらった」と完全燃焼を強調した。

 誰よりも野球が好きで、うまくなりたいと汗を流した男。うまさと力強さと勝負強さと根気強さを兼ね備えた希代のスラッガーが、静かにバットを置いた。(中澤 智晴)

 ◇福留 孝介(ふくどめ・こうすけ)1977年(昭52)4月26日生まれ、鹿児島県出身の45歳。PL学園3年の95年ドラフトで7球団から1位指名を受けたが、交渉権を得た近鉄を拒否し日本生命へ。98年ドラフト1位で中日入団。02年に首位打者、06年はMVPと2度目の首位打者に輝いた。07年オフ、FAでカブス移籍。13年、阪神で6年ぶりに日本球界に復帰。21年、古巣の中日に14年ぶりの復帰。最高出塁率3度、ベストナイン4度、ゴールデングラブ賞5度受賞。1メートル82、90キロ。右投げ左打ち。

《福留の引退試合 メモリアルイベント》

 ☆生配信☆ 球団の公式YouTubeチャンネルは午後1時から同4時まで試合前の練習を生配信。福留が外野で投手陣と記念撮影する様子や、最後のフリー打撃で柵越えを放つ様子など練習風景を詳細に伝えた。

 ☆記念Tシャツ☆ 公式オンラインショップで引退記念Tシャツが販売開始。選手、関係者は全員、このTシャツを着用して試合前の練習を行った。

 ☆展示☆ バンテリンドームの3階一塁側のドラゴンズワールド内で23日から3日間「福留選手展示」を実施。直筆サイン入り写真パネル、愛用の道具などが展示された。1ゲート横にはメモリアル巨大フォトスポットも設けられた。

 ☆応援ボード☆ 来場者には中日のブルー、阪神縦じま、メジャーリーグでの活躍を称える背番号がデザインされた「福留孝介選手応援ボード」が配布され、登場時に掲げられた。

 ☆特別仕様☆ マウンドの後方のロゴは通常の中日のロゴに加えて福留の背番号「9」が描かれた特別仕様となった。

 ☆メモリアルピッチ☆ 試合前のメモリアルピッチは福留家が担当。娘が投手、息子が打者、福留が捕手を務めた。

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