西武・長谷川 プロ初安打&2位浮上導くV撃!「レオの中堅」秋山いなくても育成出身20歳に任せろ

[ 2022年7月10日 05:30 ]

パ・リーグ   西武6―3楽天 ( 2022年7月9日    楽天生命 )

<楽・西>5回、長谷川がプロ初安打を放つ(撮影・沢田 明徳)
Photo By スポニチ

 西武は9日、楽天に競り勝ち3月30日以来となる2位に浮上した。2日に育成から支配下登録されたばかりの長谷川信哉内野手(20)が「9番・中堅」で出場し、同点の8回にプロ初打点となる決勝の右前適時打。5回にもプロ11打席目で初安打を放ち、初盗塁も決めて追加点につなげた。内外野を守れる2年目野手がチームを加速させ、貯金を今季最多の5とした。

 1軍と2軍の「水平線」に立っていた。試合前に聴く大好きなバンド「back number」の曲名と同じだった。長谷川は焦りから体が投手寄りに流れていたため「右足に体重を残そう」と体に植え付けていた。

 同点の8回1死一、二塁だった。鈴木翔の148キロ直球を右前に運んだ。歓喜の拳を握り走ったが、ここからは天国と地獄の「水平線」を行き来した。判定は二塁走者の本塁憤死。辻監督がリクエストする。一塁ベース上で待ち、判定はセーフに覆った。プロ初打点となる決勝適時打。「やっと打てた。速い真っすぐへのアプローチができた」と喜んだ。

 5回にはプロ11打席目でやっと中前に初安打し、初盗塁も決めて生還していた。「チャンスをもらって結果が出ていなかった。打撃で初めて勝利に貢献できた」。決勝打の感触をかみしめていた。

 古巣復帰となる獲得を目指していた秋山が広島入りを決断した直後の2日。50メートル5秒8の快足と広い守備範囲が評価されて支配下登録された。登録は内野手ながら1軍では外野手出場が続いている。渡辺久信GMから「暴れちゃって」と背中を押され契約を結んだ。

 足に逸話を持つ。2歳の時だ。神社参拝中に騒いだことで、父親に叱られて鳥居の下に取り残された。だが、父親が数百メートル先の車に向かうと、追い越して先に到着して泣いていた。「記憶はないんですけど…」と笑うが、幼心に置いて行かれたくない一心で走ったのだ。

 5月に支配下登録された1学年下の滝沢にも、取り残されたくない一心だった。「焦りは正直あった。緊張してフワフワしていた。ヒーローインタビューの景色は最高。もっと活躍します!」。過去5試合の9打席は4三振だったが、座右の銘は「百折不撓(ひゃくせつふとう)」。5月11日に最大8・5ゲーム差つけられていた楽天を逆転。折れてもくじけない心が3月30日以来、101日ぶりの2位浮上に導いた。(神田 佑)

 ≪U23選出の栗山監督もホレ直した≫長谷川は8月1日のプロ・アマ記念試合でU―23NPB選抜に選出されている。その試合で指揮を執る侍ジャパン・栗山監督はこの日スタンドから見守り「やっぱり能力が高いなという感じがするのでね。良かったです」と喜んだ。視察に訪れた試合でプロ初安打、初打点を目撃するという偶然。縁を感じさせ、プロ・アマ記念試合での活躍も期待していた。

 【長谷川 信哉(はせがわ・しんや)】
 ☆生まれ&サイズ 2002年(平14)5月17日生まれ、京都市出身の20歳。1メートル83、83キロ。右投げ右打ち。

 ☆球歴 4歳から兄・善輝さん(25)の所属した「一橋ガッツボーイズ」で野球を始める。敦賀気比2年春に投手から野手に転向し、2年夏に甲子園で全3試合に途中出場。3年時は新型コロナウイルスの影響で甲子園が春夏ともに中止。福井県大会は打率.400、2本塁打、4盗塁で2連覇に導いた。20年育成ドラフト2位で西武に入団し、2日に支配下登録。背番号は122から63に変更。

 ☆イケメン 渡辺久信GMが「顔もいいし、凄く楽しみな選手」と評す。大きな目と高い鼻が特徴的。

 ☆目標 トリプルスリー。理想の選手にヤクルト・山田を挙げ、動画を見て打撃を参考にするのは敦賀気比の先輩のオリックス・吉田正。

 ☆好きな食べ物 ハンバーグ。「一番はお母さんが作るハンバーグです」

続きを表示

2022年7月10日のニュース