四街道 千葉県立校13年ぶり聖地へ7回コールド開幕 鶴岡投打で主役「興奮した」

[ 2022年7月10日 05:30 ]

第104回全国高校野球選手権千葉大会 ・1回戦   四街道7-0千葉東 ( 2022年7月9日    ZOZOマリン )

<四街道・千葉東>気迫のピッチングをみせる四街道・鶴岡(撮影・谷口 未奈)
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 第104回全国高校野球選手権(8月6日から14日間、甲子園)の出場を懸けた地方大会は9日、25大会が開幕するなど計259試合が行われた。千葉大会の開幕戦は四街道のエース右腕・鶴岡汰一(3年)が6回途中無失点に、決勝打を含む2安打2打点をマーク。千葉東に7―0、7回コールド勝ちに貢献した。昨夏の代表校・専大松戸を秋の県大会で破った県立校が、戦国千葉で初めての頂点を目指す。

 初回から全開だった。開幕を告げるサイレンが鳴ると、鶴岡は雄叫びを上げながら打者に向かった。2者連続三振でボルテージはさらにアップ。内野安打で2死一塁も、4番を二ゴロに仕留め、また声を響かせた。

 「いつもと違って興奮した。最初は緊張して力が入ってしまった。とにかく仲間を信じて投げ切りました」

 開会式直後の開幕戦。会場もZOZOマリンで、普段以上のアドレナリンが出た。2イニング連続で先頭の出塁を許した3回。マウンドに集まった仲間に「とにかく落ち着け、何やってんだよ」と言われ、ようやく落ち着いた。「(気持ちを)ほぐしてくれて、いつも通りの持ち味を出せた」と感謝し、そこから心は熱く、頭は冷静に。足がけいれんし、6回2死で降板して一塁に回ったが、2安打無失点と好投。打っても4回2死二塁からの先制左前打など2安打2打点の投打の活躍に、高橋正人監督も「ここぞというときに打ってくれる」と称えた。

 戦国千葉で躍進を目指す県立校だ。74年の創部以来、甲子園出場なし。76年春の千葉準優勝が最高成績で、秋と夏は8強が最高だ。だが、新チームとなった昨秋は県大会2回戦で、春夏甲子園出場していた専大松戸に6―5で逆転勝利。鶴岡は3回から救援登板し、6回1/3を2失点に抑えた。夏の千葉大会の最近10大会で、公立校の優勝は習志野の11、19年の2度。私立の壁を破る新興勢力として頂点を目指す。

 練習メニューなどで工夫を凝らし、選手が問題意識を持ってプレーする習慣が浸透。昨秋の専大松戸戦でも1点リードの9回1死二塁から、マウンドの鶴岡がベンチの望月監督に「申告敬遠です」と進言。後続を断ち勝利した。

 「相手のブラバンは自分の応援に聞こえちゃっていました」と笑った鶴岡がすぐに表情を引き締めた。「強豪私学に勝つという強い目標を持っています」。新たな力の代表として、千葉の頂点へ突き進む。(谷口 未奈)

 ▽四街道(よつかいどう) 1951年(昭26)に創立した男女共学の公立校。佐倉二高千代田分校として誕生し、61年に四街道分校に改称。66年に定時制として独立し、71年に全日制に移行した。四街道市の十字路近くにあった樹齢380年のエノキの木(13年に強風のため伐採)を由来とし、学園祭や同窓会に「えのき」の文字を使用する。卒業生にはシンガー・ソングライターの中原めいこがおり、代表曲の「君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね。」はレコード売り上げ27万枚を記録。

 ≪優勝すれば09年八千代東以来≫千葉の過去10大会で4強入りした公立校は習志野(7度)、市船橋(2度)、松戸国際、検見川の4校のみ。優勝となると習志野(11、19年)しかない。習志野は市立校で、県立校が優勝すれば09年の八千代東以来13年ぶりとなるがどうか。

 ≪3年ぶり有観客開会式≫ZOZOマリンで行われた開会式では3年ぶりの有観客の中、前年優勝の専大松戸を先頭に入場行進が行われた。選手宣誓を務めた薬園台の遠山楓人主将(3年)は「枯木竜吟、困難を乗り越え再び輝こうとしています。野球伝来150年の年、先人たちの偉業に敬意を表し、野球ができることへの感謝と、野球文化を継承していく野球人としての使命を胸に熱い夏を戦い抜くことを誓います」と宣誓した。

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2022年7月10日のニュース