栃ノ心引退 ジョージア出身の元大関 18年初場所V 35歳、初場所で痛めた左肩悪化

[ 2023年5月20日 05:10 ]

引退会見で涙ぐむ栃ノ心
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 ジョージア出身で怪力を生かした右四つの寄りで大関まで昇進した十両・栃ノ心(35=春日野部屋)が19日、現役引退を発表した。初場所で痛めた左肩が悪化し、東十両5枚目で迎えた夏場所は初日から5連敗していた。数々のケガを克服し18年初場所では欧州出身で3人目の優勝。両国国技館での会見では祖国の応援に感謝の涙を浮かべた。

 和やかな雰囲気で行われた引退会見。ジョージアからの声援について問われた栃ノ心が突然声を詰まらせた。「本当に、感謝の言葉しかないです…」。祖国を離れて17年、数々の苦労が脳裏をよぎり涙が止まらなかった。

 2013年夏に右膝の大ケガで幕下下位まで転落したが「まだ10年は取らないといけない」の師匠・春日野親方(元関脇・栃乃和歌)の励ましに奮い立ち幕内に復帰。18年初場所で初めて優勝賜杯を抱き、その後「夢だった」大関にも昇進した。

 しかし、今年の初場所で左肩を負傷。夏場所前に師匠と何とか力の出せる体勢を模索したが、5日目の取組後に師匠と話し合って決断したという。「力が出なくなり、相撲を取るのが怖くなった。残念ですけどファンの皆さんにこういう相撲を見せるのがちょっと恥ずかしいかなと思って決めました」。思い出の一番には初優勝を決めた同期の松鳳山戦(18年初場所14日目)を挙げ「うれしかった。ファンの人も凄く増えた」と言葉に実感を込めた。

 師匠が「稽古は嫌いでなかった」と話すように、関取の多かった春日野部屋で精進。「何も知らない中で春日野部屋に育ててもらった。自分が誇れることは稽古。ケガがあったから頑張れた」と胸を張った。

 親方になるための日本国籍は取得しておらず相撲協会には残らないが、今後も日本で生活するという。「まだ決めていないが、楽しみ。ジョージアと日本を行き来しながら頑張りたい」。師匠も「断髪式(日時未定)までは部屋にいます。稽古もします。もうちょっと、こき使いますよ」と独特の言い回しでエールを送った。

 ◇栃ノ心 剛史(とちのしん・つよし)本名=レヴァニ・ゴルガゼ。1987年10月13日生まれ、ジョージア出身の35歳。柔道の元欧州ジュニア王者。春日野部屋に入門し、06年春場所で初土俵。08年夏場所で新入幕。18年初場所で初優勝。同年夏場所後に大関に昇進。19年秋場所後に大関から陥落。通算成績681勝614敗106休。幕内成績559勝573敗68休。幕内在位80場所。大関在位7場所。優勝1回。殊勲賞2回、敢闘賞6回、技能賞3回。金星2個。1メートル92、176キロ。

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