モーグル・川村あんりの決意「世界選手権で金メダルとW杯総合優勝目指す」

[ 2022年10月29日 04:36 ]

今月15日に18歳の誕生日を迎え、公開練習後にケーキと花束を贈られ笑顔の川村あんり
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 フリースタイルスキー・モーグル女子で北京五輪5位の川村あんり(東京・日体大桜華高)が28日、埼玉県所沢市のウオータージャンプ施設で練習を公開し、新シーズンに向け「(来年2月下旬の)世界選手権で金メダルとW杯総合優勝を目指したい」と抱負を述べた。昨季はW杯でも初勝利を含む3勝を挙げ、種目別2位と躍進。来年3月の高校卒業後は競技一本に専念することを決めている18歳は、本紙のインタビューに応じ、強い覚悟を示した。

  ――北京五輪から8カ月が経過した。5位だった初五輪を改めて振り返ると。
 「メダルを目指していたので悔しいが、決勝を迎えるまで気持ちの上がり下がりもあった中で、あの滑りができて良かった。いろんな方から注目されて、メダルを獲らないといけないと思ったり、集中しないといけなかったり、うまく釣り合いが取れない時に気持ちが下がった。W杯と違い、日本中が応援してくれていたので」

 ――どのくらいの緊張を感じたのか。
 「普段も緊張はするが、スタートに立てばしない。モーグルは心の状態が滑りに出る競技で、プレッシャーを感じたり、注目される経験がなかったので、いつもと違う空気を感じ、いつもと違うことに対応できなかった」

 ――いつもと違うとは、具体的に何が普段のW杯と比べて違ったのか。
 「コロナもあり、移動にとても時間が掛かるため、コーチや他の選手と話す時間が普段より短かった。そこで1人になって考えすぎたりとか、そういう部分も影響したのかなと思う」

 ――その時点でW杯ランキング1位を示すイエロービブで出場したことは快挙だった。
 「番号に見合った順位を取らないといけないと思った。終わってすぐは、もう1本滑ればもっといいランができたと思ったが、後から下で撮影したビデオを見て、エアの着地でバランスを崩した以外は、全体的良かったと思った。やるべきことはやれていたと思う」

 ――その他に五輪の思い出は。
 「とにかく楽しかったな。小さな頃から夢見ていた舞台でスキーができて、これからもまた頑張ろうと思った。普段なかなか会えない他競技の選手とも会えた。(スノーボードの)平野歩夢選手とはあいさつした。ずっとテレビで見ていた人なので、ファンみたいな感じになった」

 ――W杯では初勝利を含む3勝を挙げ、総合ランキングでも2位に入った。
 「シーズンを通しての、過ごし方も年々良くなっている。それぞれの技術の質も上がった。(初勝利は)初めてのW杯で表彰台に乗って(2位)、その後はなかなか勝てなかったが、いろいろなことに取り組んでたどり着いた優勝なので、本当にうれしかった」

 ――どんな面が一番成長したと感じるか。
 「技術よりもメンタル。試合前の気持ちの落ち着かせ方を学んだ。座学やいろんな方の話を聞いた。オンラインでも心理学を勉強した」

 ――シーズンオフはどんな過ごし方をしてきたか。
 「5~7月はカナダ、その後は米国に行き、9月はオーストラリアで試合に出た。夏のシーズンを海外で過ごすのは初めてだった。今の自分に何がベストかを考え、スキーに乗る日数を増やそうと思った。昨シーズンの10月から307日間連続でスキーに乗っていた。スキーに乗っている時間が長いので、感覚も良くなるし、去年に比べて板の操作などの感覚が良くなっていると実感している」

 ――来年3月の高校卒業後は、大学に進学せずに競技に専念することを決めた。理由や経緯は。
 「北京五輪に向かう中で、いろんなことが自分のストレスになっていると感じた。それを言い訳にせず、次の五輪は自分に正直にやりたいと思った。スキー一本で、どこまで成長できるかに懸ける。スキーだけに集中できる環境を作る。進学を勧めていた両親にも思いをしっかり話し、最後は私がやりたいことを応援したいと言ってくれた」

 ――26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪ではデュアルモーグルが採用され、メダルのチャンスが増える。対策などは。
 「デュアルは隣で滑る選手のことがどうしても気になる。技術よりもメンタルでうまくいかなくなることが多いので、最善の方法を探っていきたい。メンタル面を強化して、(シングルの)モーグルで滑っているのと同じくらいのランを出せるようにしたい。経験を積むのも大事」

 ――12月にはW杯シーズンが始まる。新たに取り組んでいる技術は。
 「エアはコーク7のミュートグラブを練習している。次の五輪では女子でもコーク10を出さないと勝てないレベルになると思うので、徐々に完成度を上げていきたい。今は80%くらいの成功率だが、試合で使うには90%が必要なので、そこまで持って行きたい」

 ――今季の目標は。
 「質の高いターンを求めて練習していたが、エアも完成度が上がっている。安定したランができると思う。技術もメンタルも(来年2月の)世界選手権にピークを合わせ、優勝したい。W杯でも総合優勝したい」

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