男子フリー70キロ級・成国 日本勢初母子2代V、初出場で「かあちゃん」に恩返し

[ 2022年9月18日 05:15 ]

レスリング 世界選手権第7日 ( 2022年9月16日    セルビア・ベオグラード )

男子フリー70キロ級決勝 米国選手(手前)にテクニカルフォール勝ちし、喜ぶ成国
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 非五輪階級の男子フリースタイル70キロ級で、成国大志(24=MTX GOLDKIDS)が初出場初優勝を果たした。母・晶子さん(旧姓飯島、54)は90、91年に世界選手権の65キロ級を2連覇した元女王で、日本勢初の母子2代優勝の快挙を達成。今大会の日本男子の金メダルは初で、女子の5個と合わせ6個目の金メダルとなった。17日の第8日は男子フリースタイル61キロ級で樋口黎(26=ミキハウス)が決勝進出を決め、銀メダル以上を確定させた。

 尊敬する、そしてちょっぴりコンプレックスを抱く「かあちゃん」と同じ称号を手に入れた。米国選手と対戦した決勝、成国はバックを取って先制点を奪うと、そのままアンクルホールドを連続で決めてテクニカルフォール勝ち。「言葉にならない。やっとここまで来た」と、満面の笑みを浮かべて喜んだ。

 母のDNAと教えを生かし、小学校から大学まで全ての世代で全国制覇。青学大時代の17年にドーピング違反で1年8カ月の資格停止処分を受けた時期も、支えてくれたのは母だった。以前は「あまり気にしなかった」という世界一の称号も、レスリング教室で子供たちを指導する中で「肩書が(全日本王者と)全然違う」と肌で感じるように。普段の練習は筋トレ中心で、マット練習は週1回だけという独自のメソッドで、ついに世界王者になった。

 「母は2度優勝している。僕はまだ1度」と成国。だが来年は連覇ではなく、グレコローマンスタイル67キロ級の制覇を目指すという。24年パリ五輪もグレコで目指しており、「誰にも譲れない目標」と目をぎらつかせた。

 ◇成国 大志(なりくに・たいし)1997年(平9)11月13日生まれ、東京都出身の24歳。元世界女王の母・晶子さんの指導で幼少期から競技を開始。三重・いなべ総合学園高―青学大。小中高大と各世代で日本一。ドーピング違反による出場停止処分明けの19年全日本学生選手権ではフリースタイル74キロ級で優勝。昨年の全日本選手権は同70キロ級で初優勝。MTX GOLDKIDS所属。1メートル67。

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