白鵬8連勝、平成最後の天覧相撲 両陛下前に責任果たす

[ 2019年1月21日 05:30 ]

大相撲初場所8日目   ○白鵬-碧山● ( 2019年1月20日    両国国技館 )

下手出し投げで碧山を破る白鵬=右(撮影・西海健太郎)
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 2017年初場所以来、2年ぶりとなった天覧相撲で、一人横綱の白鵬が平幕・碧山を退けて幕内ただ一人の8連勝を飾った。横綱昇進後の天覧相撲は無敗。天皇賜杯授与が見送られた2010年名古屋場所後、日本相撲協会に届いた天皇陛下の言葉を胸に、白星街道を突き進む。

 平成最後の天覧相撲。天皇、皇后両陛下の前で、白鵬は責任を完璧に果たした。碧山に押されても、右の下手が入ると切れ味鋭い出し投げで転がした。土俵には平常心で上がって力を発揮も、取組後の支度部屋では一転、感無量だった。

 「花道を下がるときにちょっと見ました。少し寂しい気持ちがあります。平成に育ててもらいましたからね」

 横綱昇進後の天覧相撲は6連勝。第一人者の強い姿を披露し続けられたことは、横綱冥利(みょうり)だった。

 忘れられない出来事がある。9年前の10年名古屋場所。史上初の3場所連続全勝優勝を飾ったが、野球賭博問題の余波で、天皇賜杯の授与が見送られた。「なんとかならないんですか」。白鵬は表彰式で号泣した。

 しかし後日、思いがけない宝物が届いた。相撲協会に川島裕侍従長名で、天皇陛下の言葉を記した書簡が届いた。極めて異例のことだった。

 その中で陛下は「困難な状況にありながら、連日精励奮闘して幕内全勝優勝を果たした」と白鵬をねぎらい、「今後とも元気に活躍するよう願っている」と激励された。白鵬はそのコピーを自宅で大切に保管し、時々読み返している。

 「やっぱり、思い出になりますね。あの手紙があるからこそ、頑張れるな、という思いになりました。間違いなく、それが影響していると思います。賜杯がない、という思いが伝わって本当にうれしかったです」

 自身の史上最多記録を更新する46回目のストレート給金も決めた。全勝ターンに「出来過ぎ。頭になかった」と、想定を超える前半戦を終え、後半に突入する。

 11年にも八百長問題で春場所が中止になり、夏場所は技量審査場所と名を変えた。このときも白鵬は優勝。しかし、賜杯授与は再び見送られている。平成の東京場所も、今場所で最後。賜杯の重みを誰よりも知る白鵬が、優勝へ最短距離にいることは間違いない。

 ▼藤島審判長(元大関・武双山)天覧相撲は全力士が特別な思いで土俵に上がる。白鵬はその中で冷静だった。

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