水谷、V10達成直後に“卒業”宣言「今年で最後の全日本」

[ 2019年1月21日 05:30 ]

卓球 全日本選手権最終日 男子シングルス決勝 ( 2019年1月20日    大阪市・丸善インテックアリーナ大阪 )

水谷は「10」のポーズ(撮影・北條 貴史)
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 男子シングルスは水谷隼(29=木下グループ)が2年ぶり10度目の優勝を果たした。自らが持つ最多優勝を更新し、全日本選手権は今年限りを宣言した。2連覇を狙った張本智和(15=エリートアカデミー)は準決勝で大島祐哉(24=木下グループ)に3―4で敗れた。

 水谷が、優勝インタビューで切り出した。

 「今年で最後の全日本にしたいと思います。来年は出場しないんじゃないかな」

 歓喜の瞬間の後、「V10」と書いたプラカードを持ったファンの中に飛び込み、ユニホームも投げるパフォーマンスをしていた。盛り上げ直後だっただけに、客席から「えー」というどよめきが起こった。2年ぶり王座を引き際と考えていた。

 「この全日本が始まる前から10回優勝したら満足というか、9回目の記録を達成してから全日本の思いが強く持てなくて。優勝を期待する周囲の期待が大きく、そのプレッシャーに勝てないんじゃないかなと思います」

 昨年の決勝で張本に敗れ、史上最年少優勝を許した。「その日から優勝を目指してきた」。今大会5戦中3試合で最初のゲームを落としたが、修正能力は際立っていた。

 決勝の大島戦。1ゲーム目を落としたものの、張本を倒したダブルスパートナーを、サーブでもラリーでも上回った。3ゲーム目の5―6の場面は、強打の応酬を打ち抜いて得点し、ここから4連続得点。硬軟自在な攻めは相変わらずだった。

 優勝会見では独特の水谷ワールドを率直なコメントに乗せた。「張本が決勝に上がってこなくてラッキーでした」。「張本は調子に乗りすぎ。謙虚でないと足をすくわれると、彼が教えてくれました」。平成元年生まれの男が、平成最後の全日本王者になった。国内最高峰の舞台だけではなく、「日本代表としてプレーするのも来年が最後だと思う」と東京五輪を最後に代表を引退する意向も表明。それでも、20年の日本男子の中心は、水谷だ。

 ◆水谷 隼(みずたに・じゅん)1989年(平元)6月9日生まれ、静岡県磐田市出身の29歳。両親の影響で5歳から卓球を始める。8歳で全日本選手権バンビの部(小学2年以下)優勝。五輪は08年北京大会から3大会連続出場。リオ五輪男子シングルス銅メダル、同団体銀メダル。世界ランク10位。1メートル72。利き腕は左。

 【主な日本一10度以上】

 ☆陸上 男子ハンマー投げの室伏広治が日本選手権で20連覇。

 ☆レスリング 伊調馨と吉田沙保里は全日本選手権で優勝13度。

 ☆柔道 田村(現姓谷)亮子が全日本選抜体重別選手権で11連覇を含めて14度優勝。

 ☆競泳 男子200メートル背泳ぎの入江陵介が日本選手権を10連覇。

 ☆体操 内村航平が6種目で争う個人総合の全日本選手権で10連覇。

 ☆トランポリン 広田遥が全日本選手権で10連覇。

 ☆スピードスケート 橋本聖子が全日本選手権10連覇を含む12度優勝。

 ☆ショートトラック 寺尾悟が全日本選手権で12度優勝。

 ☆フィギュアスケート 佐藤信夫が全日本選手権を10連覇。

 《大島涙「大きな差感じた」》ダブルスを組んだ水谷の前に屈した大島は「凄く悔しい」と目に涙を浮かべた。準決勝では張本を倒したが、決勝では年上の水谷の熟練したプレーの前に「コースの厳しさに大きな差を感じた」となすすべがなかった。水谷が来年の全日本不出場を宣言したことには「びっくりです。全日本の借りは全日本で返したかったが…」と少し寂しげだった。

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