貴景勝、足滑らせ自滅 初賜杯へ切り替え「悲観する内容ではない」

[ 2018年11月25日 05:30 ]

大相撲九州場所14日目   ●貴景勝―高安○ ( 2018年11月24日    福岡国際センター )

ガックリと引き揚げる貴景勝(撮影・中村 与志隆)
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 全く動揺を見せなかった。貴景勝が支度部屋で視線を上げて「悲観する相撲内容ではない」と口にした第一声が強がりではないことは明白。初優勝は持ち越しとなったが「みんなこれに向かってやっている。そう簡単にはうまくいかないし、後悔ないようにしたい」と気持ちを切り替えた。

 星1差で追う高安との直接対決。大一番の立ち合いは「悪くなかった」。低く当たってかち上げに耐え、右突きが空砲となった相手をもろ手で突き放した。右足を滑らせ前のめりの相手に体をぶつけたことが相手を支えてしまい、自らが体勢を崩して体を回転させる大関の横で土俵に落ちた。「自分の相撲が取れたら勝っている。取れてないということ」。敗れて唇をかんだ。

 小3で相撲を始めた時、30キロしかなかった。背丈もクラスの真ん中ぐらい。泣きながら父・一哉さんのスパルタ教育に耐え、本気で横綱を目指すための努力をした。「信じてくれたのは親しかいなかった」。相撲クラブの仲間の親から「(小柄な体で)何ができるねん」と鼻で笑われ、「見返してやる」と反骨心が生まれた。

 今場所中、父から「昔ボコボコにしたのは夢のためだ。後悔なく前に出ろ」と激励されたという。高安に敗れても、その表情から後悔は見えない。「親父にこんだけやってもらってプロになって成功しないと終わってるな俺って。失敗できない」。家族が駆け付ける運命の千秋楽。魂を込めて前に出たそこに、天皇賜杯がある。

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2018年11月25日のニュース