【上水研一朗氏の目】阿部兄妹V 一二三に大胆さと緻密さ 詩は非の打ちどころなし

[ 2018年9月22日 13:42 ]

兄妹王者!!金メダルを手にポーズをとる世界柔道男子66キロ級連覇の兄・阿部一二三と女子52キロ級初優勝の妹・詩
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 一本狙いで圧倒的に勝ちにいこうとすれば、必ず隙が生まれる。阿部一二三は狙い通りのオール一本優勝はできなかったが、大胆さと緻密さを兼ね備えた戦い方ができていた。準決勝のアン・バウル(韓国)には苦戦したが、それもある程度は想定していただろう。アン・バウルのように低い姿勢で粘って一発を狙う、あるいは指導を引き出しにくる相手には立ち技だけでは限界が来る。今後は一瞬の寝技を身につけるなど、ほんの少しの穴も埋める必要がある。逆に言えば、そのくらいの次元にまで達したと言える。

 一方で妹の阿部詩は、今大会に関しては非の打ちどころがなかった。決勝は釣り手を徹底的に殺し、前年女王に何もさせなかったことが勝因。志々目は準々決勝で肩を痛めていたようだが、それを差し引いても詩の完勝。準決勝までを見ても18歳とは思えない試合ぶりで、確実性を増しているように感じた。

 志々目もこのままでは終わらないだろう。アジア大会を制した角田夏実を含め、3人の争いはヒートアップする。高藤と永山がいる男子60キロ級もそうだが、互いに競り合っていくことで、東京五輪での金メダルの可能性を上げていってほしい。(東海大体育学部武道学科教授、男子柔道部監督)

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