一二三 妹と同じ内股で男子66キロ級連覇「らしさが出た」

[ 2018年9月22日 05:30 ]

柔道 世界選手権第2日 ( 2018年9月21日    アゼルバイジャン・バクー )

柔道の世界選手権第2日男子66キロ級決勝 セリジャノフ(左)を攻める阿部一二三
Photo By 共同

 詩の優勝を見守った一二三は「妹の優勝でより一層、気持ちも覚悟も決まった」と気を引き締めた。決勝は、くしくも詩と同じ内股一本。「最後は自分らしさが出た。接近戦で投げる練習をしてきたので」と喜んだ。目標にしてきたオール一本の優勝は逃し、兄妹一緒に受けたインタビューで妹に自慢をされると「そこが心残り。(4回戦が優勢勝ちで)ああ、終わったと思った」と苦笑い。しかし徹底研究された中での連覇は、兄の矜持(きょうじ)として十分だった。

 7月のグランプリ・ザグレブは、準々決勝で敗戦。国際大会での約3年ぶりの黒星は、男子日本代表の井上康生監督に「その後の周到、緻密な準備は素晴らしかった」と言わしめるほど、一二三に変革をもたらした。決勝の内股、準決勝の粘り強さも完璧な準備が生きたもの。両親に「最高の恩返しになった」と言った兄は「東京五輪も同じ日に(試合が)あると思う。五輪で兄妹同時優勝したい思いが、より強くなった」と続けた。20年には、もっと大きな恩返しをする。

 ▼井上康生・男子日本代表監督 阿部は持ち味の野性味と闘志あふれる闘いができた。2カ月前の負けを教訓に準備できたことが結果につながった。(兄と妹での優勝は)とてつもないことを成し遂げた。凄いことだ。

 ◆阿部 一二三(あべ・ひふみ)1997年(平9)8月9日生まれ、兵庫県神戸市出身の21歳。中学2年時の全国大会Vを皮切りに、神港学園高時代はタイトルを総なめ。14年には史上最年少の17歳でグランドスラム(GS)東京大会を制覇。昨年は初出場の世界選手権とGS東京大会を連勝し、今大会の代表に内定していた。得意技は袖釣り込み腰。日体大3年。1メートル68。

続きを表示

この記事のフォト

2018年9月22日のニュース