宇野 GPシリーズで正真正銘V!4回転3本初成功

[ 2016年10月25日 05:30 ]

フィギュアスケートGPシリーズ第1戦 スケートアメリカ最終日 ( 2016年10月23日    米イリノイ州シカゴ )

スケートアメリカで優勝した宇野昌磨
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 フィギュアスケートGPシリーズ第1戦 スケートアメリカ最終日、男子ショートプログラム(SP)1位の宇野昌磨(18=中京大)はフリーでも1位の190・19点をマークし、合計279・34点で優勝した。フリップを含む4回転ジャンプ3本を初めて成功させ、2位のジェーソン・ブラウン(米国)に10点以上の大差をつけた。合計スコアは15年GPファイナルの276・79点を上回る自己ベスト。GPシリーズ通算2勝目となった。

 総立ちの観衆から拍手で迎えられる中、宇野は両手で頭を抱えて苦笑いした。「失敗しちゃったなぁ。もったいないなぁ」。終盤予定していた3連続ジャンプの最初のトリプルアクセルで転倒し、続く2つのジャンプを跳べなかった。演技後の頭の中に残ったのはこのたった一つのミス。それだけ他は完璧だった。

 開き直りが功を奏した。冒頭の4回転フリップ。今年4月に世界で初めて成功させた大技を直前の6分間練習では一度も決められなかった。「いろいろ考えて、全然良くならなかった。何も考えずに思いきり行こう」。無心で跳ぶと、きれいに決まった。続く4回転トーループも成功して調子を上げた。タンゴのリズムに乗って次々とジャンプを決め、後半には4回転―2回転の連続トーループも成功させた。だが、初めて4回転ジャンプ3本を成功させたことで心にスキが生まれた。「(脳裏に)ノーミスがちらついた。集中力が切れたのか、欲が出たのか」。8つのジャンプのうち7つ目でミスが出た。

 最後に悔いが残ったとはいえ、スタミナには手応えを感じた。オフに走り込みを敢行。週3度、約8割の力のダッシュをフリーと同じ4分半、5セットほど行った。2位に10点以上の差をつける完勝は「体力づくりがあったからこそ」だった。GPシリーズ初優勝だった昨季のフランス杯はテロの影響でSPのみとなったため、SPとフリーの合計で争う通常の大会形式では初の勝利。「他の選手の失敗ではなく、シニアになって初めて自分の実力を出し切って勝ててうれしい」と喜んだ。

 4回転ジャンプ2種類3本成功で得た自信も大きい。男子は五輪王者の羽生や世界選手権2連覇中王者のフェルナンデス(スペイン)ら2種類以上の4回転ジャンプで競う新時代に入っている。「近いうちにユヅ君(羽生)やフェルナンデス選手と一緒に、本当のトップのトップの中で戦っていける選手になりたい」。平昌五輪まで1年4カ月。シニア2年目の18歳の視界に世界のトップグループが入ってきた。

 ▽日本人でフリーで4回転ジャンプを3本決めたのは宇野が3人目。本田武史は03年四大陸選手権で4T、4T―3T、4Sに成功。羽生結弦は15年スケートカナダで4S、4T、4T―2Tに成功。金博洋(中国)は今年2月の四大陸選手権で史上初の4本(4Lz、4S、4T―2T、4T)を決めた。今季の羽生は4本(4Lo、4S、4S―2T、4T)の構成で挑む。※Tはトーループ、Sはサルコー、Lzはルッツ、Loはループ。 

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