“ひねり王子”床メダルなしに内村「あいつも人間なんだな」

[ 2016年8月16日 05:30 ]

着地に失敗する白井

リオデジャネイロ五輪体操・男子種目別床運動決勝

(8月14日 リオ五輪アリーナ)
 “ひねり王子”がまさかのメダルなしに終わった。種目別決勝の床運動で13、15年の世界選手権を制した白井健三(19=日体大)は、15・366点の4位。金メダルの大本命が「シライ2(前方伸身宙返り3回ひねり)」などで失敗し、表彰台にも届かなかった。腰に痛みを抱えながら強行出場した内村航平(27=コナミスポーツ)は15・241点で5位。マックス・ウィットロック(23=英国)が15・633点で金メダルを獲得した。

 負けたことで、体操界に衝撃が走った。内村のコメントが、全員の思いを代弁する。「五輪で金メダルを獲ることって相当、難しい。さんざんいろんな期待に応えてきた男でも、こんなことってあるんだな。あいつも人間なんだなって改めて思った」。大本命の白井がまさかの4位。表彰台にも届かなかった19歳は、悔しさを必死に押し殺した。

 「あの演技をしてしまった時点で負けは覚悟できた。結果が出た時もそんなにビックリしなかった。あの演技をした時点で、メダルは獲れない」。

 団体決勝(8日)の同種目では種目別の優勝スコアをはるかに上回る16・133点をマーク。普通に演技すれば金メダルだったが、普通を許さないのが五輪だった。「シライ2」でバランスを崩すと、前方2回半ひねりも前に2歩動いた。6日の予選では「リ・ジョンソン」でラインオーバー。その残像が、まだ頭の中に残っていた。「ラインオーバーを気にしすぎて、心の小ささが出たかな。(予選から)修正しきれていない、奥の自分が出てしまった」。

 17歳で出場した13年世界選手権で金メダルを獲得すると、15年大会も制した。「緊張したことがない。緊張したっていいことない」と話していたが白井も人の子だった。
 
予選からの修正、最大目標だった団体を制してからのモチベーションの高め方。“ひねり王子”に襲いかかった五輪の魔物は、さまざまなことを教えてくれた。「五輪という舞台で失敗すれば、そうそう同じ失敗はしない。今後の自分の糧になる。気持ちの切り替えが、まだまだ子供だな」。まだ19歳。23歳で迎える4年後の東京五輪では、完璧な演技で世界を驚かせる。

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