【佐藤満の目】展開次第で勝てた太田…それでもグレコに希望を与えた大きな銀

[ 2016年8月16日 08:23 ]

男子グレコローマン59キロ級決勝で敗れた太田忍

リオデジャネイロ五輪レスリング男子グレコローマンスタイル59キロ

(8月14日)
 太田は「らしさ」全開の見事な試合ぶりだった。特長は全ての技に思い切りがあることと、外国人に負けないパワーと柔軟性を兼ね備えているところ。その長所が最も発揮されたのは準決勝のバイラモフ戦だろう。相手の首と脇を抱え込みコントロールしての豪快ながぶり返し。一度相手が上に乗るかっこうとなりフォールされるような局面もありながら、パワーとバネで投げ切りフォールに持ち込んだ。

 初戦でロンドン五輪王者のソリアンに0―4から逆転勝ちしたのも見事だった。アジア予選で勝っており、終盤まで攻め続ければ勝機があると自信があったのだろう。残念だったのは決勝だ。現役世界王者に先制を許したことで接近戦に行くしかなくなり、腕取りに苦しんだ。離れた状態でのフェイントは効いていたし、展開次第では勝てたと思う。

 52年ヘルシンキから続いている、男子レスリングの連続表彰台を初日に継続してくれたことや、国内で少数派のグレコローマンに希望を与えてくれたという点で銀メダルの意味は大きい。あとに続く選手は勢いづいてくれるはずだ。 (88年ソウル五輪フリー52キロ級金メダリスト、前日本男子強化委員長、専大教授)

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2016年8月16日のニュース