古賀は銀!天国の古橋氏にささげるメダル

[ 2009年8月3日 06:00 ]

男子50メートル背泳ぎ決勝 24秒24の日本新記録で銀メダルを獲得し、手をたたいて喜ぶ古賀淳也

 世界水泳選手権最終日は2日、イタリア・ローマで行われ、男子50メートル背泳ぎ決勝で、100メートル金メダリストの古賀淳也(22=スウィン埼玉)が24秒24の日本新記録をマークし、銀メダルを獲得した。03年バルセロナ大会で男子100メートルと200メートル平泳ぎを制した北島康介以来日本2人目の2冠達成はならなかったが、今大会2個目のメダルであらためて実力を証明した。また、前日の男子100メートルバタフライではマイケル・フェルプス(24=米国)が49秒82の世界新をマークし、今大会4個目の金メダルを獲得した。

 古賀が今大会の日本勢4個目のメダルを、天国にささげた。古橋名誉会長の急死が選手に伝えられたのは、午前のレース後の緊急ミーティング。上野広治代表監督が「古橋さんの名に恥じないレースをしよう」と声を掛けると、選手は静かに聞いていたという。午後の決勝が始まる前に、会場全体で黙とう。古賀も入場時に右手で喪章を持ち、選手紹介時にはその喪章を胸に当てた。特別なレースで結果を残した。

 スタート直後の浮き上がりでタンコックにリードを許すと、差は最後まで縮まらなかった。優勝したタンコックのタイムは世界新記録の24秒04。「バサロは悪くなかったが、初速の馬力が違った。(喪章は)天国から見ていてくださいというつもりだった」。優勝こそ逃したが、日本選手団のショックを振り払う、エースにふさわしいレースだった。
 小さいころからさまざまなスポーツに取り組み、中学までは水泳と並行して野球にも取り組んだ。運動神経は抜群で、中でも瞬発力に優れていた。その才能が最初に水泳で発揮されたのが50メートル。06年アジア大会で優勝し、07年の世界選手権では決勝の舞台に立ち7位になった。

 昨年北京五輪選考会で代表の座を逃してからは100メートル用の大きな泳ぎを強化。スタミナもつけた。日本代表で指導する鈴木陽二コーチは「100メートルの練習が50メートルの後半の強さに生きている」という。

 100メートルの優勝に続いて2個目のメダル獲得。「古賀の(100メートルの)金メダルの時には“古賀はよくやった”と喜んでいた」(上野代表監督)という天国の古橋氏に、吉報は確かに届いたに違いない。

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2009年8月3日のニュース