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コンサ都倉がエースの誓い 昇格J1で自身初の大台2桁ゴールを

[ 2017年1月3日 14:05 ]

獅子舞を手に笑顔の札幌・都倉
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 新年の決意表明だ。コンサドーレ札幌のFW都倉賢(30)が2日、J1が舞台となる今季の誓いを立てた。エースが秘話も披露した新春インタビュー。クラブ創設20周年の昨季、都倉はJ2得点ランク2位の19得点を挙げてチームをJ1昇格&J2優勝へ導きJ1イヤーを迎えた。今季の目標としてJ1で初となる2桁ゴールを掲げ、新年に懸ける思いを熱く語った。

◆12年の神戸在籍時より「全てにおいて成長している」

 ――新しい年が明け、今季はいよいよJ1の戦いが始まります。

 「思ったより実感がないですね。1シーズン戦い続けてホッとしているのが強すぎる。キャンプで始動したり、対戦相手が決まってようやくJ1の舞台なんだって感じ始めると思う。まだ何も始まっていないので」

 ――今季の目標は?

 「もちろん、チームとしてJ1に定着する第一歩として残留というのが、去年のJ1昇格と同じくらい明確な目標。チームとして全力でそこを目指す上で、個人としてはJ1で2桁(ゴールを)取れていない。まずはそこが最低限の目標になる。2桁取る選手がいれば、ある程度残留は見えてくる。そこを責任感もってやっていきたい」

 ――J1で2桁得点を挙げるには、どういう部分が必要か。

 「ワンタッチゴールの割合をさらに増やしていくために、クロスへの準備と予測の部分です。J2なら得点できた場面でも、J1では体を寄せられ入らない状況も出てくる。その中で、もっと自分からワンタッチでゴールできるところに引き込むこと。それをこの間、中山さん(元日本代表FW)にクロスのタイミングとかを聞いて、自分の中でヒントになったのでそこを磨いていければ」

 ――前回J1でプレーした神戸在籍中の12年と今を比べると。

 「全てにおいて成長していると思うが、一番はチームとしていい準備ができた中で今季を迎えられるのは大きい。神戸のときは自分のアピールができず、居場所を確保することができなかった。もちろん、今季もポジションを保証されているわけじゃないが、チームとして自分がどういうプレーをするかを周りが分かってるのは仕事をしやすい。J1の舞台は単純にレベルが高いし、ワクワクする。そこで自分は過去に淘汰(とうた)されているので、確実に数字や目標を残したいです」

◆まだまだクラブとして凄く成長幅のあるチーム

 ――札幌では初の複数年契約を結んだ。残留を決断した一番の理由は。

 「3年(札幌に)いて、もちろん愛着もありますし、組織として何かを成し遂げた経験がキャリアでなかったので、自分がある程度中心となってやってこられた。チームとして、同じ仲間として戦える経験はなかなかないので、この仲間たちとどれだけできるのか、まだまだクラブとしても現場としても凄く成長の幅があるチーム。そこの成長を一緒に感じられる楽しさが魅力です」

 ――札幌という土地の好きなところは?

 「ご飯もおいしいし、自然と街の調和。規模感。人の量。嫌な混み方もしないし、でも、閑散としているわけじゃない。ちょっと行けば自然も感じられるし、人も温かい。こんなにいいとは思わなかったです。住んでみて結局、札幌が一番いいですね」

 ――お正月の一番の思い出は?

 「(子供の頃)毎年1月の2日とかに皇居マラソン(1週5キロ)に家族で出るんですよ。新年の都倉家の恒例行事になっていて、それが嫌で嫌で。親父はスパルタで超根性論だった。幼稚園の年長のときに初めて出たのかな、年長で5キロとか無理じゃないですか。年を重ねるごとにタイムも気にされ始めて。歩きそうになると“根性ッ!”とか言われて。でも、絶対に逆らえないから鬼のように走るという。恐怖って力とか引き出すんだなと(笑い)。でも、それが俺の源ですね。ただ、ストイック過ぎるのも頭でっかちになるから、バランスは取るようにしてる。それで自分でパンクしちゃうのも性格上、分かるから。あえて気分が乗らないときは何もしないとか、自分の付き合い方は分かってる。親父はそれができない人だったけど、母親の血も引いてるからうまいことできるのかなと」

 ――最後に、新年に当たってサポーターへメッセージをお願いします。

 「今年は昨季以上に厳しい戦いが続くと思うけど、昨季以上にサポーターとチームと一体感をもって最後まで戦っていけたらうれしいので、熱い応援をよろしくお願いします」

 <取材後記>「華麗なる一族」の苦労も乗り越えられた父の教え

 都倉は13年に最愛の父を亡くしている。生前の父を懐かしそうに思い出し、うれしそうに話す姿が印象的だった。記者と都倉は年が近く、後日にお父さんの話を書いても大丈夫かと確認すると「全然大丈夫、気にしないで」と言ってくれた。

 ピンクレディーの「UFO」など多くの名曲を手がけた大作曲家の都倉俊一氏を伯父に持ち、姉は準ミス日本。「華麗なる一族」と言われ続けてきた。親族に有名人がいる人の気持ちは分からないが、華麗なる一族に生まれた者にしか分からない苦労があったことは想像がつく。そんな苦労もきっと、その父譲りのストイックさと努力、メンタルの強さで乗り越えてきたのだろう。萌夫人への思いもそうだが、インタビューを通じて都倉の「家族愛」を強く感じた。

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