藤井正弘の血統トピック

「国産血統進化の縮図」ドゥラメンテ万能サイヤーの器

[ 2020年7月8日 05:30 ]

 【新種牡馬紹介(2)】ドゥラメンテ 2012年生まれ 鹿毛 安平産 父キングカメハメハ、母アドマイヤグルーヴ(母の父サンデーサイレンス) 日本、UAEで9戦5勝 主な勝ち鞍は日本ダービー、皐月賞、中山記念 2歳産駒189頭。

 父キングカメハメハとの日本ダービー2代制覇を果たした2015年度JRA賞最優秀3歳牡馬。ミルコ・デムーロ騎手との初コンビとなった皐月賞は、4コーナーの大斜行から先行馬群を一気に抜き去るサーカス競馬で、広大な東京2400メートルで能力全開に至った日本ダービーは、父の記録を11年ぶりに更新する2分23秒2のレースレコード勝ちだった。その後の骨折で3歳後半戦は全休。4歳初戦の中山記念で異世代相手に貫禄を見せつけ、ドバイシーマクラシックでは落鉄の不運に見舞われながらも2着を確保した。続く宝塚記念で首差2着入線後に歩様を乱して下馬。検査の結果、競走能力喪失の診断が下された。馬名の通りの荒ぶる気性で知られた馬だが、負けても2着を外さなかったのは身体能力の高さに加え、根が真面目だったと解釈すべきかもしれない。

 母、祖母、3代母とG1級名牝が連なる牝系に日本の歴代チャンピオンサイヤーが配された血統構成は究極の“ベストトゥベスト”。国産血統の進化の縮図ともいえる。交配牝馬の血統に制約が生じるのは致し方のないところで、むしろ配合的な技巧を離れた自力勝負が本領だろう。父同様の万能サイヤーとして幅広いジャンルで大物を期待したい。(サラブレッド血統センター)

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