藤井正弘の血統トピック

【有馬記念】シャフリヤール 偉大な父ディープ“集大成イヤー”飾る

[ 2023年12月20日 05:26 ]

 パンサラッサの“1000万ドルの逃げ切り”と、ウシュバテソーロのドバイ制圧によって実証された国産ダート血統の国際競争力。キタサンブラック、サトノクラウン、ドゥラメンテの同世代サイヤーが分け合った牡馬クラシック。改めて父ドゥラメンテの早世が惜しまれたリバティアイランドの牝馬3冠達成。そして「世界王者の父」キタサンブラックの種付け料高騰。23年の競馬は血統面でも話題満載の一年だったが、私選10大ニュースのトップは何といってもディープインパクト産駒オーギュストロダンの英ダービー制覇。国内外合わせてわずか13頭の血統登録しかない最終世代から、最後の大傑作を送り出した“決定力”には心底驚嘆した。血統史的には後年、あらゆる意味で種牡馬ディープインパクトの集大成イヤーという位置づけになるように思う。

 “集大成イヤー”の有馬記念は3頭出し。中でも急転直下の参戦となったシャフリヤールは、臨戦過程と初の中山コースが不安視されるところだが、血統的にはむしろ人気落ちが吉と出そうだ。全兄アルアインは現役最終戦の19年有馬記念こそ11着に敗れたものの、皐月賞優勝、セントライト記念、オールカマー2着の中山巧者。皐月賞に加えて5歳時の大阪杯と、G1・2勝を単勝9番人気で挙げたこの兄は、ディープインパクト産駒屈指の穴メーカーでもあった。

 母のドバイマジェスティは2~5歳、通算34戦に及ぶ現役生活を単勝7番人気のBCフィリー&メアスプリント制覇で締めくくった。全兄アルアインが示した打たれ強さと穴属性も、この母由来の特質だろう。同じ父の英ダービー馬オーギュストロダンに食い下がったBCターフは復活の予兆。3世代のダービー馬対決でさらにパフォーマンスを上げる可能性大だ。(サラブレッド血統センター)

続きを表示

バックナンバー

もっと見る