仲邑菫初段 最年少勝利にもハニカミ 立会人・石井九段は絶賛「井山の10歳の時よりも強い」

[ 2019年7月8日 19:29 ]

公式戦初勝利を挙げた囲碁のプロ最年少・仲邑菫初段は会見で「うれしい」
Photo By スポニチ

 囲碁の最年少プロ、仲邑菫(なかむら・すみれ)初段(10)が8日、公式戦2戦目で、同じ日本棋院関西総本部所属の田中智恵子四段(67)と対戦。146手で白番中押し勝ちし、公式戦初勝利を挙げた。10歳4カ月での勝利で、最年少勝利記録を更新。これまでの記録は、藤沢里菜女流本因坊(20)の11歳8カ月だった。

 会見はいつもと同じように、はにかむばかりの仲邑初段。公式戦初勝利に「勝てて嬉しい」と声を絞り出し、10歳4カ月での史上最年少勝利記録更新も、立会人として会見に列席した石井邦生九段(77)から促されて「嬉しい」。あとはうなずいて、会見場の端で見守る両親の顔色を伺うだけ。シャイな10歳プロ「すみれちゃん」が、それでも日本囲碁界の歴史を塗り替えた。

 対局は持ち時間各1時間の早碁戦。白のパーカーに紺色のスカートという小学生らしい出で立ちで、仲邑初段は登場した。序盤から攻めたが、1975年入段の経験豊富なベテラン・田中四段にことごとく交わされた。だが、中盤の中央部左側での争い。田中四段が仕掛けた1手を見逃さなかった。誘いに乗らず、88手目に7七へ強烈な1手。囲碁AIの評価が15対84の仲邑初段劣勢から、91対08と形成大逆転。そのまま押し切った。

 対戦した田中四段が「大人みたい。不思議な感じ」と評した仲邑初段。序盤から1手毎に大きく盤上へ身を乗り出したり、体を揺らす場面も見られた。デビュー戦となった4月22日の竜星戦予選でプロ同期の大森らん初段(16)に敗れた。そこから2カ月の間、囲碁の本場・韓国へ渡って、修行を積み直した。日課の早朝棋譜並べも欠かさなかった。立会人の石井邦生九段(77)も「今年の初めに打った時は勝たせてもらったが、今は私より菫ちゃんの方が強そう。伸びしろが凄いね」と成長の跡を認め「井山の10歳の時よりも菫ちゃんの方が強い」と自らの弟子である井山裕太七冠(30)を引き合いに出して、仲邑初段に太鼓判を押した。

 4月28日には非公式戦の若竹杯1回戦で種村小百合二段(37)を破り、非公式戦ながらプロ棋戦で初勝利を挙げている。今回の公式戦初勝利で、次戦は8月5日に名古屋の日本棋院中部総本部で金賢貞四段(40)との対戦。これに勝てば史上最年少での本選出場となる。勝てばすべて「史上最年少」のタイトルがついてくる仲邑初段。大きな目標である「世界一」への第1歩を今、踏み出した。

続きを表示

この記事のフォト

2019年7月8日のニュース