藤井七段 2年連続最高勝率 今年度ラスト大逆転で決めた!

[ 2019年3月28日 05:30 ]

第32期竜王戦ランキング戦4組準々決勝で、中田宏樹八段に勝利した藤井聡太七段
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 将棋の藤井聡太七段(16)は27日、東京都渋谷区の将棋会館で指された竜王戦4組ランキング戦3回戦で中田宏樹八段(54)を逆転で下し、今年度の公式戦を終えた。年度内成績を45勝8敗(未放映のテレビ対局を含む)とし、勝率・849で2年連続の年度最高勝率に輝いた。一方で中原誠16世名人(71)が1967年度に記録した歴代の年度最高勝率・855(47勝8敗)更新は成らなかった。

 声のか細さが激戦を物語る。「早い段階から少しミスが重なったというか…苦しい戦いが続いたと思う」。敗勢を意識したか、の問いには「そうですね、はい」と即答した。そこまで追い込まれながら、懸命に逆転の道筋を追い求め、ベテランの選択を迷わせる。死力を尽くした110手目での決着。午前10時の対局から半日を優に越えた午後10時22分のエンディングだった。

 厳しい戦いを制して疲労困憊(こんぱい)の藤井だが、2年連続の勝率1位が確定。歴代最高記録更新こそ逃したものの、羽生善治九段(48)の・836(46勝9敗=1995年度)を抜き歴代3位に食い込んだ。昨年の自身の勝率を上回ったのは、対戦相手に難敵が増えたことを考慮すると偉業に近い。「一局一局に全力を尽くした結果として、わずかですが前年度を上回れたのはうれしく思います」と手応えを口にした。

 目標としたタイトル戦出場こそ成らなかったが、史上最年少棋士は18年度も好調を維持した。記録部門ではこの日の45勝目で佐々木大地五段(23)に並ぶ1位に浮上。「2冠目」の可能性も残している。

 この日は昼食、夕食ともに今月末で閉店する「みろく庵」から出前を取った。「これが最後の機会になるので。自分はプロになって2年と少しですけど、(閉店には)寂しい思いはありますね」と、珍しく感傷的なコメントも残した。注文の“連投”は、藤井なりの惜別メッセージだったのかもしれない。

 ◆藤井 聡太(ふじい・そうた)2002年(平14)7月19日生まれ、愛知県瀬戸市出身の16歳。杉本昌隆八段門下。5歳で将棋を始め、小4で奨励会入り。16年10月に史上5人目の中学生、史上最年少の14歳2カ月でプロ入り。17年6月にデビューから無傷で歴代最多の29連勝を達成した。名古屋大学教育学部付属高1年。

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