吉澤ひとみ被告“ほぼ実刑” 執行猶予最長の5年 裁判官「悪質」

[ 2018年12月1日 05:33 ]

吉澤ひとみ被告
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 酒気帯び状態で車を運転し、ひき逃げをしたとして自動車運転処罰法違反(過失傷害)と道交法違反の罪で起訴された元「モーニング娘。」の吉澤ひとみ被告(33)に、東京地裁は30日、懲役2年、執行猶予5年(求刑懲役2年)の有罪判決を言い渡した。執行猶予期間としては最長で、実刑の一歩手前。吉澤被告は、裁判官に「自覚を持って生活して」と諭されると「はい」と小声で答えた。

 吉澤被告の一連の犯行に厳しい審判が下った。“ほぼ実刑”の執行猶予5年。佐藤卓生裁判官は「いずれか一つを犯しただけでも重い責任を問われる罪。その上、各犯行はいずれも同種の犯罪と比べて(程度が)悪質」と断じた。

 今回の犯行では(1)1リットル当たりの基準値の約4倍となる0・58ミリグラムを検出する酒気帯び運転(2)法定速度の60キロを26キロ超過する過失運転致傷(信号無視、速度超過)(3)女性被害者が顔に傷の残るケガを負ったにもかかわらず、放置した救護義務違反(ひき逃げ)が判明している。吉澤被告は、微動だにせず判決を聞いた。

 裁判官は複数の情状酌量を認めつつ「通常より長めの猶予期間が相当」と補足。説諭では「5年の間に過ちを犯すと、2度目の猶予はないと思ってください」とくぎを刺した。

 「執行猶予5年」の持つ意味について、元東京地検検事の大沢孝征弁護士は「“実刑にしてもよかったんですよ”という地裁の気持ちの表れ。刑務所の塀の上を歩いているようなもの」と説明。「被害者のケガがもうちょっと重かったら、間違いなく実刑」とした。

 猶予付き判決で、5年が言い渡される率は「全体の10%程度」で「裁かれた事件だけでなく、生き方や順法精神を顧みさせる意図が大きい」と話した。

 11月29日の初公判では、吉澤被告が保釈後も、事件の最大の原因である酒を飲んでいることが判明した。これが猶予刑の法定上限という厳しい量刑に影響したと指摘する声もある。大沢弁護士は「飲酒運転は駄目だが、飲んじゃいけないということはない」としつつ「普通は少なくとも裁判中は自重する。本当に反省しているのかと、疑問を持たれても仕方ない」とも話した。

 「この5年の間、自覚をもっと持って、裁判と関わることのないよう生活して」という裁判官の言葉に「はい…」とかすかな声で答えた吉澤被告。判決から2週間、控訴しなければ刑が確定する。その瞬間から、更生へ長い5年が待ち受ける。

 ○…過去、執行猶予5年の判決を受けた芸能関係者は、09年に麻薬取締法違反で起訴された押尾学(40=のち保護責任者遺棄致死罪などで追起訴され実刑、すでに刑期満了)や、同年に5億円の詐欺罪に問われた小室哲哉氏(60)らがいる。4度目の薬物事件となる覚せい剤取締法違反(使用)罪を起こし、吉澤被告と同じ11月29日に東京地裁で初公判が開かれた高橋祐也被告(38)は00年の2度目の逮捕、起訴時に執行猶予5年の判決を受けている。

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2018年12月1日のニュース