木梨憲武“七刀流”の夢 3年後に映画監督「まずは脚本からスタート」

[ 2018年4月29日 10:00 ]

映画「いぬやしき」で主演を務める木梨憲武
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 「とんねるず」の木梨憲武(56)が、公開中の「いぬやしき」(監督佐藤信介)で16年ぶりに映画主演を務めた。お笑い、歌手、芸術家などさまざまな顔を持つが、今作で新たに“CG男優”の肩書を得た。今は映画監督にも興味津々で、メジャーリーガー・大谷翔平もビックリの“七刀流”へ向けて突っ走る。(伊藤 尚平)

 「CG制作のために自分の体をマーキングしたデータを渡してあるから、これからは俺の体がなくても大丈夫。CGで作ってもらって、後から声だけ入れればいい。どんどんジジイになってくけど、若返ることもできるしね」。面白がって笑う。最新の映像技術も木梨にかかれば笑いのネタになる。

 「いぬやしき」で演じたのは、謎の事故で機械化された初老のサラリーマン・犬屋敷壱郎。同じく機械化され、人類を滅ぼそうとする高校生の獅子神(佐藤健)と戦うアクション作。CGやVFX技術を駆使し、犬屋敷が新宿の上空を飛び回るシーンはド迫力だ。「僕はほとんど何もしてないんですけどね。新宿の街をちゃんと飛んでたんで、うれしい限りですよ」。CG男優としての“初主演作”にニンマリだ。

 犬屋敷は木梨とは対照的に気弱で暗い男。会社では年下の上司に叱られ、家庭では発言権のない父親。引っ越した日に寿司を買ってきたのに、家族はファミレスに行ってしまい、1人寂しく食べる哀愁漂うシーンもある。2男1女の子供3人と暮らす木梨は、これとは正反対の父親だ。

 「木梨家はまだチャンネルの取り合いをしてますから。最終的には“このテレビ、誰が買ったと思ってんだ?”で終わらす。それで子供が引いてく。そしたら“まさか引いてないよね?”とグイグイ入ってく。笑ったら俺の勝ちですよ」。今作の出演を決めたのは、原作を知っていた子供に勧められたことも理由のひとつ。普段から何でも言い合える関係であるからこそだ。

 撮影現場では屋台を出した。焼き鳥をメインに、カレー、コロッケ、ステーキ、ケーキと毎日メニューはさまざま。「忙しくて一度も楽屋には帰っていない。“今日は豚汁があった方がいいかな”とか打ち合わせて。最後の方はこっちがメインで、その合間に撮影をやってたぐらい」。どんな時でも人を楽しませようとする。

 「大谷(翔平)くんは二刀流?俺はまず実家の自転車屋(木梨サイクル)でしょ、長男ですからね。それから、とんねるず、CG男優、歌手、アート。木梨サイクルのアパレルもやってるし、映画監督をやれば七刀流だね」。本紙では馬券師・ノリゾーとしても活躍中だ。マルチな仕事ぶりが目立っている。

 「紙に線を一本引いただけでも、思いがあれば作品。思いがなければただの線」。これが現代アートの芸術家としての信念だ。大切なのは自分の思いがこもっているかどうか。「役者も芸人も免許証がいらないので、自分が思いを持って向かえるかどうか。意外にどんな仕事も同じだと思う」。その思いの中心にあるのが、人を笑わせたい、楽しませたいという精神だ。

 「アートって、どれだけ描こうがやめようが自由。時間がある人はずっと描いちゃうけど、さっきの方が良かったなってこともある。その正解を探していくのが楽しい。映画の場合も、監督がすべて決めるでしょ。だから、映画監督って楽しそうだなと思うんですよね」

 その映画監督が次の肩書かもしれない。「妄想は自由」と言いながら、「イメージでは3年後には映画を撮りたい。まずは脚本からスタートしようかな」と具体的に語る。頭の中にあるのは、ある家庭を追いかけるドキュメンタリー風の物語という。「助監督には(妻の)安田成美さんを付けますよ。映画の撮り方、撮られ方を分かってるんで。それか、安田成美さんが監督になって俺が出るか」

 冗談めかして言うが、これまでの仕事ぶりを見ると、木梨ならば本当にやってくれる。そう思ってしまう。3年後が楽しみだ。

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