新人女性監督がLGBT映画撮った理由「社会が扉開け始めた」

[ 2017年3月1日 09:10 ]

映画「たゆたう」に込めた思いを語る山本文監督
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 女性として生まれながらアイデンティティーについて悩むセクシャルマイノリティー、望まぬ妊娠をして子を産むかどうか葛藤する女性――。2人の揺れ動く心情を描いた映画「たゆたう」(4月1日公開)に込めた思いを山本文監督に聞いた。

 山本監督にとって今作品が長編初監督作。14年11月に撮り終えていたものの、約2年半かけて劇場公開にたどりついた。「『たゆたう』は元々自主映画で作ろうと思っていた作品なので、劇場公開が決まったこと自体が奇跡」としつつ、「もうじきお客さんのもとへ旅立つと思うと、子どもを世に出す親のように感慨深いものがあります」と口にした。

 ルームシェアをする2人の女性、あかりとジュンを中心に描かれる。あかりは自暴自棄な生活から望まない妊娠をし、ジュンは女性として生まれながら性別への違和感に悩んでいた。「おろすんだったら、自分にちょうだい。赤ちゃん」。子供を中絶しようとするあかりに、ジュンがかけた一言から2人の関係性が微妙に変化していく――という物語だ。

 原作、脚本も務めた山本監督は、セクシャルマイノリティーの友人との何気ない会話から着想を得たという。「(友人は)『将来家族を築けるかどうかわからない、それが不安だ』と。例え話で、私(山本監督)に子供が何人か生まれたら、『(そのうちの)1人欲しいな』って、そんな話をしたんです。そんな考え方あるんだなと思ったのがきっかけです」

 「たゆたう」を撮り終えてからの約2年半の間に、渋谷区で同棲カップルを結婚に相当する関係と認める同性パートナー条約が成立し、昨夏のリオデジャネイロ五輪ではLGBT選手の参加人数が過去最高になったとも報じられた。俳優の生田斗真(32)がトランスジェンダー役で主演した映画「彼らが本気で編むときは、」(荻上直子監督)が2月25日に公開されたばかりだ。

 山本監督は「意識してLGBTをテーマにしようとしたわけではない」と話し「このご時世にこの作品に当てにいったというよりは、社会全体がセクシャルマイノリティーに扉を開け始めた、その流れに身を任せたんだと思います」と振り返った。

 性同一性障害の治療において日本屈指の外科医と名高い、ナグモクリニック名古屋の山口悟医師が医療監修を担当した。山口氏は性の多様性を受容する風潮が「決して前進一辺倒ではありません」とした上で、「ただ、世界的にも国内的にも話題に上ることは多くなっていると思います。セクシャルマイノリティーの方々への理解は間違いなく広がっていると思います。性の多様性ひいては人間の多様性を寛容な心で受け入れようという機運はあると感じています。このタイミングでの上映によって、そのような『個の尊重』という考えがより浸透したら良いなと思います」と作品への願いを語った。

 「たゆたう」は東京・新宿K’s cinemaで、4月1日から2週間限定で公開される。

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