「永い言い訳」西川美和監督 本木雅弘起用を決めた是枝氏の一言

[ 2016年10月15日 09:30 ]

大阪市内でスポニチの取材に応じた西川美和監督
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 「ディア・ドクター」(09年)などで知られる西川美和監督(42)の長編映画第5作「永い言い訳」が14日、公開された。本木雅弘(50)の新たな顔が引き出された一作。大阪市内でこのほど本紙取材に応じた西川監督が配役の裏話、主人公に衣笠幸夫(さちお)と名付けるほどの鯉党ぶりを語った。

 脚本も自ら手掛ける西川監督。優しさや善意だけでなく、人間のずるさや弱さも描く。妻を事故で亡くした有名小説家が、同様に妻を失った男やその子供と不思議な“家族関係”を始める物語。浮気中に妻のバス事故を知ったり、マスコミに妻の死への悲しみを語った後に世間の反応をネット検索するような嫌な男の役に西川監督が抜てきしたのは、本木だった。

 「年齢と、外見がいい小説家という設定に合う」と起用を考えたが、西川監督と15年以上親交がある映画監督・是枝裕和氏(54)の「この主人公、本木さんに似てる。複雑な自意識を持ってるけど、憎めない可愛げがあるんだよね」という一言が決め手になった。

 俳優の「見たことのない部分を見たい」と語る西川監督の手にかかれば、「おくりびと」での名演や「日本のいちばん長い日」で昭和天皇も演じた本木が欠点だらけの男に大変身。本木を「言い訳は多いし、後から“本当はあのシーンどう思ってた?”とか聞く面倒な人。でも、みっともなさもさらけ出す垣根のなさがチャーミング」と評価し、「あの一族にいる時点でロックな人でしょう?」と笑う。過去の高貴な役柄に隠れた、内田裕也(76)や樹木希林(73)にもなじめる本木のユニークさを見抜いていた。

 今作の主人公の名は、プロ野球・広島で“鉄人”と呼ばれた衣笠祥雄氏(69)と同じ読みの衣笠幸夫。国民栄誉賞の英雄と同じ重い名を背負い生きる男の設定だ。名付けた西川監督は広島出身で大のカープファン。25年ぶりのリーグ優勝の瞬間も東京ドームで見届けた。衣笠氏は名前使用を快諾して西川監督に「限りなき挑戦」と書いた色紙を贈呈し、試写会にも来場。偉業にたがわぬ器の大きい人だった。

 内省的な作品から想像できないスポーツ好きのその素顔。本木同様、見たことのない姿を披露してくれた。

 ◆西川 美和(にしかわ・みわ)1974年(昭49)7月8日、広島県出身。早大第一文学部卒。大学時代の99年、是枝裕和監督作「ワンダフルライフ」にスタッフとして参加。02年、映画「蛇イチゴ」で監督、脚本デビュー。06年の「ゆれる」では、毎日映画コンクール日本映画大賞受賞。

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