阪神ドラ2・門別 亡き妹の名前刻んだグラブでもっと上へ「気持ちを入れて頑張れたらなと」

[ 2023年1月7日 05:15 ]

5歳の時に脳腫瘍で亡くした妹の名前を刺繍したグラブを手に入寮する阪神ドラフト2位・門別啓人(球団提供)
Photo By 提供写真

 阪神ドラフト2位・門別啓人投手(18=東海大札幌)は特別な思いと覚悟を抱き、選手寮「虎風荘」の門をくぐった。持ち込んだのはプロ仕様に新調したグラブ。5歳の時に脳腫瘍で他界した妹・心奈さんの名を、自らの相棒に刻みこんだ。

 「妹の名前を入れて、プロでやっていこうと思いました」

 亡き妹とともにマウンドに上がってきた。初めて心奈さんの名を刺しゅうしたのは高校時代。「妹の名前を見て気持ちが入って。今回も名前を入れて気持ちを入れて頑張れたらなと思って入れました」。困難に直面したときも、グラブを見ては勇気づけられた。一人ではない。そのたびに、心奈さんが背中を押してくれた気がした。

 高校時代は高野連の規定で内側にしか刺しゅうをできなかったが、プロではより見えやすい外側に縫うことが可能となる。同校の大脇英徳監督は以前に「家族への感謝の思いを忘れなければ大丈夫。(門別は)特別な家族愛を持っているし、忘れることはない」と語っていた。門別はその言葉通り、両親、そして心奈さんへの感謝を胸に厳しい競争を勝ち抜いていく決意だ。

 「高校とは違って色を変えられるので、ちょっと派手にしたいなと思って」

 グラブの色合いは黒色を基調としながらも桃色をアクセントに加えた。ウェブには桜の模様を選択。内側にはスペイン語で高める、上げるという意味を持つ「Elevar」の文字を記した。

 「“上昇”という意味の文字を入れたいと思っていて、いろいろな言語を調べてみた中でスペイン語の響きがいいなと思った。上昇にちなんで、もっともっと上に上にって意識でやっていければ」

 さまざまな思いを込めたグラブとともに、若き左腕は飛躍への上昇気流を巻き起こす。(阪井 日向)

続きを表示

2023年1月7日のニュース