1メートル64 西武・滝沢 育成高卒新人初のデビュー戦初安打 支配下登録即大役果たし貯金1

[ 2022年5月14日 05:30 ]

パ・リーグ   西武4―2楽天 ( 2022年5月13日    ベルーナD )

<西・楽>6回、プロ初安打となる内野安打を放つ滝沢(撮影・尾崎 有希)
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 スポーツカーのような高速コーナリング。低い車高からの急加速だった。西武・滝沢のプロ初安打は、内角直球に詰まらされながら全力疾走して二塁内野安打。送球が一塁ファウルゾーンにそれると直角にターンし、一気に二塁に達した。

 育成高卒新人で史上初となるデビュー戦初安打は、1―2の6回先頭で飛び出した。「朝からずっと緊張していてあまり覚えていない」。1メートル64と現役最小兵の18歳は、濃密な一日を駆け抜けた。

 試合開始7時間前。支配下契約を結んで臨んだ記者会見で「小さいからこそ、できることがある。この身長でもできるという夢や希望を与えたい」と個性のアピールを誓った。その直後に1軍昇格を伝えられ、松井ヘッドコーチから「2番・遊撃」を告げられたのは試合前練習のウオーミングアップ中。背番号は「62」に変わったが、ヘルメットは育成選手としての「126」のままだった。

 快足でつくった無死二塁の好機。続く外崎が放った打球が三遊間を抜けるのを待たずにスタートを切った。三塁を回り、本塁に頭から滑り込む。同点の生還だ。直後に中村のソロで勝ち越した。

 学生時代の整列は常に先頭。大柄な選手にパワーで劣等感を覚えた時期もあるが、反骨心に変えてスピードと守備力を生きる道とした。ベンチに戻るたびに頭中の汗をタオルで拭い、6度の守備機会を無難にこなした。

 正遊撃手の源田が故障離脱した穴を埋める存在として期待される。「勝利に貢献できる選手になりたい。必死になって頑張りたい」。年俸が280万円から450万円に上がったルーキーが、チームに貴重な貯金1をもたらした。(神田 佑)

 ◇滝沢 夏央(たきざわ・なつお)2003年(平15)8月13日生まれ、新潟県上越市出身の18歳。保育園時代から軟式野球を始め、城西中3年時に県選抜入り。関根学園では内野手兼投手として1年春からレギュラーながら、甲子園出場なし。21年育成ドラフト2位で西武入団。今季は2軍で23試合に出場し、15安打、2打点、5盗塁、打率.234。1メートル64、65キロ。右投げ左打ち。

 《リーグ初》育成2位ルーキーの滝沢がプロ初出場。育成で入団した高卒新人の1軍出場は、投手を含め19年の山下航汰(巨=外野手)以来2人目でリーグ初となった。また、6回には初安打。育成高卒新人の安打も前記山下(3試合目で安打)以来2人目だが、初出場初安打は滝沢が初めてだ。なお、育成に限らず、西武高卒新人のデビュー戦安打は14年7月30日オリックス戦の森以来。

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