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新井貴浩氏 貧打の虎へ提言 好機こそ「決める」より「つなぐ」が大事 「得点圏」つくることを意識

[ 2022年5月14日 05:30 ]

新井貴浩氏
Photo By スポニチ

 【新井貴浩 視点】阪神は13日のDeNA戦が雨で流れ、横浜スタジアムで練習し、14日に備えた。借金14を抱える中、2日連続の中止で仕切り直し。逆襲には開幕39試合でリーグ最低110得点、特に得点圏打率.215に沈む攻撃陣の奮起が不可欠で、スポニチ本紙評論家の新井貴浩氏は(1)好機でこそ“決める”ではなく“つなぐ”(2)好機そのものの数を増やすアプローチを説いた。

 いまの阪神の打者は「チャンス」が「ピンチ」になっていないだろうか。得点力が上がらず、どうしても好機での凡退に焦点が当たり、球場の空気も重くなる。ただ、いい投手ほど得点圏に走者を背負った場面でギアが上がり、集中力も高まる。好機での一本は言葉ほど簡単ではない。技術よりメンタルが占める部分が大きい。チーム状況が苦しく、重圧も普段以上だと思う。

 得点圏打率.313の広島はどうか。絶対的な存在だった誠也が抜け、誰も代わりはできない。できるのは「後ろにつなぐことだけ」と各自が考えた。好機でも「自分が決める」ではなく「つなぐ」。心のつながりが打線として形になり、リーグ最多167得点に表れる。実際に17本塁打はリーグ最少だ。

 好機で走者を還したい、自分で決めたい気持ちは同じ打者としてよく分かるが、いまは自分で自分に重圧をかけすぎているように映る。好機でも「後ろにつなぐ」つもりで臨めば、自分を少しは楽にできる。謙虚に献身的に…そういう気持ちの方が不思議と安打になった経験が多い。

 もう一つ。得点圏での「率」に目が行きがちだが「数」も考えたい。得点圏打数256は広島の351より100近くも少ない。つまり、それだけ好機そのものが少ない。好機がなければ、得点の可能性は本塁打に頼るしかない。数が限られることで余計に「逃せない」と自分を追い込むことにもなる。

 「チャンスでどう打つか」より「チャンスを多くつくること」にもっとフォーカスしていい。16~18年に3連覇した頃の広島がそうだった。チャンスの数を増やすために、どうアウトを使うか。当時の石井琢朗打撃コーチの指導だった。たとえば1死二塁からの内野ゴロで2死三塁。本塁まで還せなくても、走者三塁なら相手バッテリーに重圧をかけられる。好機で得点できなくても落胆せず、「いいチャンスをつくれた。また同じようにチャンスをつくろう」と導いてくれた。

 阪神は開幕の頃に比べて投手陣は先発・救援ともそろい、だからこそ打撃陣への期待が高まる。少しでも楽な心理状態で打席に立てるよう、ベンチもいままで以上に雰囲気づくりをしてほしい。

 《得点圏で強かった新井氏》新井貴浩氏は通算で得点圏打率.293を残し、通算打率.278より高い。現役20年で規定打席を満たした13シーズンのうち06年.355を筆頭に得点圏打率3割超えは9度あった。

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