【センバツ総評】福島敦彦氏 大阪桐蔭は引き締まった初戦の接戦が、その後の歴史的大勝へつながった

[ 2022年4月2日 05:30 ]

高校野球解説者・福島敦彦氏

 第94回選抜高校野球大会は大阪桐蔭の4年ぶり4度目の優勝で閉幕し、本紙の「迫球甲子園」でおなじみの福島敦彦氏が大会を総評した。

 4度目優勝を飾った大阪桐蔭は大会のチーム最多本塁打記録を更新する11本塁打を放ち、準々決勝以降の3試合はいずれも2桁得点と圧倒的な打撃力を見せつけた。投手陣も2年生左腕の前田君と3年生右腕の川原君の両輪が素晴らしかった。選抜は試合勘に乏しく初戦の戦い方が難しい。昨夏を経験した川原君が鳴門戦で1失点完投し、攻撃陣は好左腕の冨田君に対し8安打3得点も、引き締まった接戦を制したことが、以降の大勝につながったように思う。

 準優勝の近江は開幕直前に代替出場が決まる慌ただしさの中で一戦ごとに力を発揮した。滋賀県勢初の決勝進出は見事の一語。大黒柱の山田君は決勝こそ左足のケガの影響で早期降板を余儀なくされたが、2度の延長戦を含め4試合完投した気迫ある投球は今大会で最も印象に残った。

 また、昭和、平成、令和と史上初3元号勝利した大垣日大の阪口監督は、私が報徳学園監督時代に東邦の監督として対戦したこともあるだけに、健在ぶりを示したことは個人的にもうれしかった。

 京都国際と広島商の辞退は本当に残念だったが、甲子園で最後まで全力で戦う球児がもたらす数々の好ゲーム、好プレーに元気をもらった。一方で、大会を通し140キロ台後半の速球を投げる投手の少なさ、大阪桐蔭を除いた本塁打数の少なさは、コロナ下で練習量、実戦ともに以前より少なくなっている影響が出ていることを改めて感じた。

 各地で春季大会が実施されるなど夏に向けた戦いは始まっている。一段と成長した球児の姿が見られることを楽しみにしている。(報徳学園、慶大、中山製鋼元監督)

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2022年4月2日のニュース