「選手・新庄剛志」に見た周囲気遣う繊細さ 監督としても大きな武器に

[ 2021年11月3日 09:00 ]

日本ハムの新庄剛志新監督
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 日本ハム担当として、「選手・新庄剛志」の最後の3年間を見届けた。もちろん、多くのプレーやパフォーマンスも印象に残っているが、特に強く心に刻まれたのは、最初と最後に垣間見えた繊細さだった。

 04年の春季キャンプイン前日、1月31日。ナインと初対面した夕食会で、こうあいさつした。

 「オイッス!ダメジャーリーグからやってきた新庄です。今年の目標は人の悪口を言わないこと。日本ハムが先頭に立ってパ・リーグを盛り上げていきましょう。今年はパ・リーグです!」

 当時は「ダメジャーリーグ」「今年はパ・リーグ」というパワーワードにひかれた。後に、このあいさつの肝は「人の悪口を言わないこと」にあったのだと思わされた。

 阪神での若手時代は首脳陣との確執に、メジャー時代は人種差別に悩まされた経験がある新庄氏。日本ハムでは、自身の言動について各方面から批判を浴びることがあっても、自らはマイナスな発言は決してしなかった。いつもポジティブな言葉で包んで盛り上げ、チームを引っ張った。

 06年10月の日本シリーズ制覇を置き土産に、現役生活を終えた。中日と対戦した最後の晴れ舞台に臨む直前にも、「(中日は)凄くいいチーム。名古屋のファンにも僕のユニホーム姿を見てもらいたいなと思います」と、相手への敬意を欠かさなかった。

 誰よりも目立つことをモチベーションにして、自らの力に変える。独特かつ華やかなキャラクターが生む発信力に関しては、当然、監督としても大いに期待できる。その一方で、常に周囲を気遣うことができる繊細さも、チームを率いるにあたり、新庄氏の大きな武器だと思っている。(記者コラム・大林 幹雄)

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