侍・伊藤&栗林 勝利呼ぶ黄金新人継投 肝っ玉コンビ「2+1回零封」

[ 2021年8月5日 05:30 ]

東京五輪第13日 野球準決勝   日本5―2韓国 ( 2021年8月4日    横浜 )

<日本・韓国>7回、力投する伊藤(撮影・小海途 良幹)
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 流れを呼んだ。勢いも付けた。韓国に傾く流れを止めた23歳の若き「ラストサムライ」伊藤は、涼しい顔で言ってのけた。

 「ここで抑えたらおいしいかな、と。思い切って初球から自分らしくいけた」。2―2の7回から3番手で登板。千賀とともに最後に追加招集されたルーキーは、先発経験しかないシーズンと違う役割でも動じなかった。

 直球が走り、宝刀・スライダーが切れた。2死後、四球で歩かせても2番・姜白虎を外角直球で見逃し三振。8回2死から5番・金賢洙に左翼線二塁打されたが、代打・崔周煥をスライダーで二ゴロに仕留めた。2回無失点。山田の決勝二塁打は直後の攻撃だった。

 伊藤は韓国ベンチの揺さぶりにも強心臓ぶりを発揮。7回2死、2球目を投じたところで、ロジンを付けすぎていると審判へ抗議があった。体質的に手汗が多く、5月の西武戦でも栗山から同様のクレームを受けていたが、気にしなかった。五輪の大舞台でも、自分の投球に徹し「打者もガンガン、テープを付けているので。僕が何も付けないで死球だったらどうする、くらいの気持ちで。フェアでしょ」と言い切った。

 かつて心を揺さぶられたのが09年WBC。憧れのダルビッシュが抑えとして決勝の韓国戦で最後の打者を空振り三振に仕留めてガッツポーズした。国を背負って戦う姿に「プロだから格好良くやらなければいけないとは思わない。歯を食いしばってやる姿も一つの魅力。そういう立場の人間として、一生懸命である姿を伝えられるような人間でありたい」と力を込める。

 同じ韓国を相手に魂の投球。五輪1勝を手にした伊藤は、決勝へ向けて「投げたくて、うずうずしています」と言った。(秋村 誠人)

 ≪栗林2勝2セーブ≫クローザーの栗林が9回を締めた。3番手の伊藤からルーキーリレーで登板。先頭を四球で歩かせ、さらに暴投で二塁に進まれたが、そこから打者3人を落ち着いて封じた。これで今大会は全4試合に登板して2勝2セーブと大車輪の活躍を見せている右腕は「守護神という認識よりも9回のマウンドを任せてもらっているというつもりで投げている。あと1勝、出せる限りの力を出したい」と意欲。7日の決勝で「胴上げ投手」となる可能性は十分だ。

 ▼建山義紀投手コーチ 栗林は全試合に投げていて明らかにボールが走っていなかったが、あそこは彼に託すしかなかった。(山本の交代は)相手も3巡目に入り、アジャストしてきている感じだった。

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