全国14万人の球児の夢消さない!夏の高校野球地方大会 無観客開催を検討

[ 2020年4月28日 05:30 ]

無観客の甲子園球場で行われた昨年の全国高校野球選手権大会の開会式リハーサル
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 第102回全国高校野球選手権(8月10日開幕予定、甲子園)各地方大会の「無観客開催」が検討されていることが27日、分かった。新型コロナウイルス感染拡大を受け、日本高野連が全国47都道府県の高野連に「収入0」となった場合を想定した支出状況を調査していることが判明。夏の甲子園にも波及する可能性が出てきた。今夏の全国高校総合体育大会(インターハイ)の中止が決まった中で、開催の道を探る。

 関係者の話を総合すると、調査は今月中旬に行われた。毎年行われる日本高野連への収入・支出状況報告の際「収入が0だった場合に支出はどのくらいになるか」という質問の回答を求められたという。各高野連は夏の地方大会の入場料収入を運営財源としており、「収入0」は無観客を意味する。保護者や控え部員の入場を許可したい考えの高野連もあり、無観客の定義は今後の議論が必要だが、それぞれで球場使用料や消毒に必要な経費などを計上し、回答書の作成にあたっている。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、3月のセンバツや全国の春季大会が中止となった。その中で日本高野連と主催者は安全な大会運営へ無観客開催が感染予防策となると見ており、同じく無観客開催を目指したセンバツから継続して検討材料としている。

 地方大会も含めた大会開催には選手、チーム関係者やその家族の健康管理、全観客への検温、ベンチやトイレの徹底した消毒が求められる。しかし、ある県の高野連幹部は「消毒液が確保できていない」と明かすなど各高野連単独では物資、人員確保に限界があり、無観客もやむなしとするのが現実的だ。各高野連は年間最大の収入源を失うが、東京都高野連の武井克時理事長は「方法を考えて最大限開催へ準備する」と語った。岩手県高野連の大原茂樹理事長も「無観客、規模縮小を大前提としながら準備はしていく」と話すなど、無観客を検討するところも出始めている。

 前日の26日には、今夏の開催を予定していたインターハイの中止が決定。日本高野連の小倉好正事務局長は「今回の決定に至るさまざまな検討内容を参考にさせていただきたい」と夏の甲子園の開催判断に影響する可能性に言及していた。

 日本高野連は5月20日に運営委員会を開き、開催可否について話し合う見込み。さらに東北、関東など全国9地区の理事長が無観客で行った場合の支出状況を報告する見通しだ。地方大会が無観客で開催となれば、夏の甲子園本番も無観客を視野に入れる可能性は高い。全国の高校球児は、昨年で約14万3000人。「甲子園」という夢をかなえてもらうため、開催の道を最後まで模索していく。

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