ダルビッシュ、後半戦復調の理由…「左打者に何を使うか」6月の敗戦で得た気づき

[ 2019年8月5日 21:44 ]

ナ・リーグ   カブス7―2ブルワーズ ( 2019年8月4日    シカゴ )

ブルワーズ戦に先発し、5回1失点で4勝目を挙げたカブスのダルビッシュ
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 カブスのダルビッシュ有投手(32)が4日(日本時間5日)、本拠地でのブルワーズ戦で5回5安打1失点、8奪三振の好投で今季4勝目を手にした。初回に主砲のイエリチにソロを浴びたが、左打者7人を並べたブ軍打線に対し、落ちるカットボールを軸に2回以降は無失点に抑えた。

 ハイライトは2点リードの5回2死一、二塁だった。グランダルを2ストライクと追い込むと、最後は90マイル(約145キロ)のワンバウンドになるカットボールで空振り三振に仕留めた。リグリー・フィールドの4万466人の大観衆は耳をつんざく「YUコール」で大騒ぎだが、本人はガッツポーズも雄叫びもなく、スタンドに一瞬、目を向けただけでダグアウトに引き上げ降板となった。

 試合後、ジョー・マドン監督は「5回の後、疲れているように見えた。球数ではなく、それが交代の理由」と説明。ダルビッシュは通常は試合後に15~20分ほど日米メディアにその日の投球内容を説明してくれるが、体力は残っておらず、既にクラブハウスに姿はなかった。ただ、指揮官は「彼以上のピッチングをしているものは誰もいない」と絶賛。一塁手のリゾも「自信を持って投げている。カブスの一員として進化していくのを見るのは楽しい」と感心していた。

 なぜ、ダルビッシュは左打者にカットボールを軸に配球するようになったか。きっかけは6月26日のブレーブス戦だった。直球を左打者に2本塁打され5失点。12試合ぶりの黒星を喫した後、ダルビッシュは冷静に自己分析していた。「僕が米国に来てからのキャリアで言うと、特に左打者にフォーシーム(直球)をずっと打たれている。今日の(直球の)質だと簡単に持っていかれる」。その試合は雷雨で48分の中断があったが、ダルビッシュは担当コーチの承諾を得て、中断後はあえて左打者に一切、直球は投げない配球にし、打ち取っていった。

 「左打者に何を使うかということです。自分が得意なのは、曲がり球。カットボールも直球に近い横に曲がるのと、斜めのと、球速も変化も変えられる。スライダーもカーブもある。僕はフォーシーム(直球)のコントロールで、左(打者)の外(角)が弱い打者にいつも困る。それなら無理して投げなくてもいんじゃないかと。左打者と右打者で同じ球を使っていたら自分の場合だめなんだろうなと今日(6月26日)は確信した。左打者と右打者では全く別の投手になるイメージでやればたぶん大丈夫かなと」。

 ダルビッシュは今季途中に10試合連続勝ち負けなしの珍しい記録を続けていた時、自分ではコントロールできない勝ち負けではなく「トップレベルのピッチングができるよう質を上げていく」と目標を掲げていた。有言実行の今季23試合目となっている。(シカゴ・奥田 秀樹通信員)

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